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【2017/05/24 22:28 】 |
第18節 Fiorentina VS AS Roma 1

ウインターブレイクも終わったイタリアでは女子セリエAが再開した。
リーグ戦に先立ってコッパイタリアの3回戦が行われ、インテルやミラン、それにラツィオにフィオレンティーナなど強豪チームは順当に勝利を収め、そしてASローマはエンポリに1-1のドローでファーストレグを終えていた。

そして開幕するリーグ戦、第18節。
フィオレンティーナのホームスタジアムであるアルテミオ・フランキにはキックオフを今か今かと待ちわびるファンが3万人以上詰め掛けていた。


その控え室。
紫色のジャージに身を包んだホームであるフィオレンティーナイレブン。栗色の長い髪を後ろに纏め上げたレイズ・フォーチュンはベンチに足を組んで座り、いつものように爪にやすりをかけていた。
監督、コーチが部屋に入り戦術の確認などを選手たちに説明する中でもどこ吹く風といった様相だった。


「レイズ」

言われて彼女は顔を上げた。呼んだのはチームの監督であるカーラ・ブラッキアリ。前監督が体調を理由に身を退いたあと、内部昇格という形で今季から指揮を取る若き女性監督。気性の荒さが目立つものの、采配自体は奇をてらわないオーソドックス系、現在もリーグ順位3位と好位置につけている。
その監督にしても性同一性障害を持ち、そして気分屋である彼女には手を焼いているといった感があり、あまり1対1では相対しないように気を使っているのが他のチームメイトが見てもありありであった。つまりレイズ・フォーチュンはそれほどのトッププレイヤーだということに他ならないのであるが。

監督であるカーラは、赤い唇の端を僅かにあげ、微笑みを作るとゆっくりとつぶやいた。


「喜べ、向こうさんのスタメンに君のお気に入りの娘が入っているぞ」
「…ほう、それはそれは」

レイズはやすりをかけた爪にふっと息を吹きかけるとゆっくりと、そして優雅な動作で立ち上がる。170センチとどこかのモデル級の長身が控え室内でその存在感を露にする。

「うん…燃えてきたよ。楽しみになってきた」


その様子を見て、カーラ・ブラッキアリは今日の試合の安泰を確信した。




一方こちらはアウェーであるASローマの控え室。
すでに赤いジャージと白いパンツに着替えたローマの選手たちは監督であるBucchiiとその側近である橘恵美に視線を注いでいた。

「じゃあ、スターティング・メンバーを発表するぞ」
「ミステルー、いつも思うんだけど何でいっつもいっつも試合直前にメンバー発表するのー?」
監督の言葉を遮ったのが銀髪で小柄な少女、カミュ・ファルコーニ。大きな瞳をくりくりさせて邪気のまるで感じない表情を監督に向ける。

「ですね、もっと早く決めていただければ準備もできるというものです」
珍しくそれに同調したのはキャプテンであるジーナ・デル・サルト。腕を組んで大きく頷く。Bucchiiはふたりの顔を交互に見やってから口を開く。

「…確かにそうだな、だがー」

その先に続く言葉があまりにわかりきっているかのようにジーナは先にため息を吐いた。

「その方が面白そうじゃないか」



「よし、じゃあゴールキーパーはプレシャス・デーデ」
「はい」
立ち上がる黒い肌の長身。少し柔和な微笑みを冠したデーデは第1回ダイヤモンドカップにおいてナイジェリア代表としてピッチに立ち、その時のパフォーマンスを評価されてこのチームに来た。以来3年間正GKとしてローマのゴールマウスを守ってきた。

「センターバックはキッカ・コスタクルタとパオラ・ファウネル」
二人の大柄な選手が立ち上がる。この2人もローマがB時代からの息の長いコンビであり、現在も主力としてバックラインを守る。いわゆる「ザケーロ」としてのパオラとDFリーダーであるキッカという役割分担。

「サイドバック、右がサンド・フィオーリ。左はウィルマ・ビショップ」
「へ?」
素っ頓狂な声が響いて控え室内に笑いが起きる。まさかスタメン起用があると思っていなかったこのウィンターブレイク明けに加わった新戦力は自身を指差しながらいまだ状況を飲み込めていない風。隣に座るサンドが彼女の肩を叩きながら無表情を貫いたまま顔を向けた。
「いいから。多分ネタ要員」


「サイドハーフ、右はアギー・バック。左はオーラ・サネッティ」
「よっし!」
オーラは右手を大きく振り上げてベンチから飛び上がった。
そのオーラ・サネッティは若きイタリア女子代表選手であり、その俊足とクロスの正確さは完全にワールドクラス。守備に軽さはあるものの、その突破力はそれを補うにあまりある。右のアギー・バックはローマがAに昇格した年にイングランドのチームからレンタルで加入。そして今季完全移籍を果たしたクレバーなプレーが身上の選手。


「セントラルハーフはジーナ・デル・サルト」
Bucchiiはそこで言葉を切って彼女にキャプテンマークである腕章を放り投げた。
ジーナは硬い顔をして受け取ると立ち上がった。
彼女はチーム最年長であり、そしてイタリア女子代表として前回のダイヤモンドカップにも選ばれた。守備的能力の高さはセリエ内でもトップクラスなのだが、中盤選手としての展開力には少し物足りなさがある。

「もうひとりは、森下。森下茜」
「はいっ!」

黒髪のポニーテールを揺らして立ち上がるのは日本人の森下茜。今季からローマに加入していたのだが前半戦は怪我の治療の為出場ゼロ。再開後のコッパイタリアもベンチ外であり、試合出場は今季初めてとなる。
「やったねアカネー」
先程の銀髪の少女、カミュが飛びかかるように茜の首に手を回して抱きつく。茜は少し苦しそうな顔をしながらも嬉しさを隠し切れない風に笑顔を向けた。


「ツートップはカミュ・ファルコーニと清水代歩」
「おう」
「おっけ」

そしてもう一人の日本人である清水代歩、そしてカミュが同時に立つ。そして2人が目を合わせるととたんに不機嫌な様相となる。

「ち、またこのチビとかよ」
「またかよ、サダコはおとなしくTVの中で出番待ってろよー」
「んだとコラ」
「なんだとコラ」


代歩とカミュは同時にお互いの胸倉を掴み合って臨戦態勢。茜が止めに入ろうと手を出したとき、ドンという大きな音が控え室内に響き渡る。

「…いい加減にしなさいね、ふたりとも」
先程までニコニコと選手たちを眺めていた橘恵美がその笑顔そのままに額に青筋を浮かべていた。そして彼女の足元から埃が舞い上がる。さっきの音は彼女が床を踏みつけた音だったのだ。

カミュと代歩は同時に掴んでいた胸倉から手を離す。そして少し皺の入ったお互いのジャージを丁寧に伸ばしだす。

「うんうん、仲良くなー」
「そうそう、ふたりは仲良しなー」

「よろしい」
恵美は浮かべていた青筋を消し、またニコニコとした笑顔にもどった。




「おし、じゃあ呼ばれるまで簡単に打ち合わせをしておけよ。俺たちは先に行ってるぞ」
選手たちのはあいという声を背中に受けながらBucchiiと橘恵美は控え室を出る。そして控え室とピッチを結ぶ薄暗い通路をふたりは並んで歩いていく。

「…ミステル」
「ん、なんだ?」

恐る恐る恵美がBucchiiを見やる。歩きながらBucchiiは首を傾げた。

「前のテストマッチの時、森下さんはリーグ終盤まで使わないといったニュアンスだったと思うのですが、どうしてスタメンに?」
今日のスターティングに茜の名前を見つけたときからどうしても聞いておかなければいけないと思っていた事である。
茜は確かにセリエ、いや世界的に見ても上級のMFなのは間違いのないところであるのだが、如何せん半年以上のブランクと移籍し、チームとのフィットも未知数であるという状態で大事なリーグの緒戦。しかも上位とのマッチに起用するというのは博打というよりも無謀と言った方が正しいのではないか?そういう危惧を感じていた。
Bucchiiはふむふむと頷き、そして軽く微笑む。
「まあ、そうだな。橘の言うことはもっともなのだがな」
「でしたら」
「でもな、使わないといつまでもフィットしないし、それに」
Bucchiiはここで一旦言葉を切って橘に向き直る。

「森下は俺の期待を超えちまったからさ、ご褒美だよ」
「・・・ご褒美って」
恵美は大きなため息を吐いた。確かに茜はBucchiiの課したタスクを完全にこなしてはいるが、それでも不確定要素の方が多いのではないか?


「ま、どうなるかは奴らしだいだよ」
ピッチに近づくにつれ、歓声の音が大きくなってくる。
間もなく、キックオフだ




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【2011/06/04 19:20 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(2) | トラックバック(0)
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有り難いご意見
無題
お久しぶりです、捨井です。

「すぷさんっ!」(真剣味に欠ける名前だな、今更だが)の方のコメントは削除済みです。


いろいろ大変なことがあったようですが、とりあえず。
もう一度ネット上のお付き合いを再開致しましょう。妄想のキャッチボール、というかパス交換、って感じで。


…ただ自分の方は文章力とかペースが正直落ちてるっぽいので、まあその辺はゆっくりと。


今回は久し振りに自分以外の人の展開が見られてとても嬉しかった。やはり未知のストーリーはワクワクするもので。


ではまあお互い、ゆっくりと参りましょう。あとご家族とのご同居が叶うことを願いながら。

それではっ。
【2011/06/04 22:53】| URL | 捨井武 #990ab0f773 [ 編集 ]


返信
コメントありがとうございます。
私もゆったりペースですが2年以上妄想の中で動き回っていた彼女らに活躍の場を与えてあげたくてこれを立ち上げました。
見てくれる人がいるとか実はどうでもよくて、うずうずしてるだけなのかもしれません。
今後ともよろしくお願いします
【2011/06/04 23:06】| | Bucchii #4f08fb5f61 [ 編集 ]


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