忍者ブログ
  • 2017.04
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2017.06
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2017/05/24 09:22 】 |
ある日の休日
1月に再開した女子セリエAではローマの快進撃が話題になっている。
後半開幕戦、優勝候補のフィオレンティーナとアウェーながら0-3で快勝したのちウディネーゼ、ボローニャ、パルマと連勝。4連勝で3位のラツィオと勝ち点で並ぶ。いまだ1位のインテルとは勝ち点で8離れているがこのままの調子を維持できれば逆転する事も夢ではない。
そしてローマはインテルと共にチャンピオンズリーグの決勝トーナメントにも進んでおり、この快進撃のまま水曜日のヴァレンシア戦に望む。






これは土曜日のパルマ戦を4-1で勝利した次の日。
ローマの選手たちはつかの間の休日を楽しんでいた。



スペイン広場、いつものジャージではなく厚手のコートに身を包んだその少女、森下茜は時折時計を見ながら石畳の広場のベンチに腰を下ろしていた。

「よ、少し遅れたかな」
「大丈夫だよ、今来たところ」

待ち人到着に茜は笑顔を見せる。本当は待ち合わせ20分前にはここにいたので都合40分はここにいたのだが。
待ち人は、いつもは長い黒髪を後ろに纏め上げている姿ばかりだが今日はプライベートという事で縛らずにおろしている。亜麻色の肌に黒い瞳、そして冬の太陽に反射する長い髪で周囲のイタリア人の視線を奪いかねないその少女は清水代歩だ。

「恵美は?」
「うん、先に店に行ってるって。あのカフェ、いい席は早めに行かないと取れないから」

今日は茜と代歩、そして日本人コーチの橘恵美と久しぶりに日本人だけでのティータイムを過ごそうという約束だった。そして明日の練習後、チャンピオンズリーグのヴァレンシア戦の為スペインに行くという事で、その準備でショッピングもしようと考えていた。

「そういえば茜、彼氏ほっといていいのか?」
「大丈夫、勇太さん先月からまた旅に出てるから。ロシアとかユーラシア全般をまわるって言ってたからしばらく帰ってこないんじゃないかな。ちょっと寂しいけどね」
「ふうん」
「それより代歩ちゃんもこないだ紹介してくれたミルコさん、だっけ?一緒じゃなくていいの?」
「・・・・・・・・・・・」
「あー… ごめん」
「いや気にする事ないって。今回は長く続くと思ってたんだけどな。いやアッチの相性は抜群だったんだけど」

そんなことを話しながら恵美の待つカフェへ。
そのカフェのオープンテラスの席で恵美は待っており、茜たちの姿を見つけると立ち上がって手を振った。

「ごめーん、お待たせ」
「この寒いのにオープンテラスかよ」
「平気よ。風も少ないし日が当たって気持ちがいいわよ」

茜と代歩が椅子に座ると間もなくウエイターがやってきた。茜と代歩はカプチーノを注文した。

「で、さ、恵美」
代歩は少し周囲を見渡してから恵美に剣呑な視線を投げつけた。

「このグラスはなんなんだ?」
正方形のテーブル、ちょうど代歩の対面誰も座っていないはずの席に並々と注がれたミルクがおいてある。
茜もそれを見て乾いた笑い。


「アーッカネ!」
突然茜の背後から首を回して抱きついてきたのはカミュ・ファルコーニ。昨日の試合でも2アシスト1ゴールと大車輪の活躍だった。
恵美は茜と代歩に向かって手を合わせて頭を下げた。
「ごめんねふたりとも。今朝カミュに会ったらどうしても一緒に来たいってきかなくて」
「う、ううん別にいいよ」
カミュに後ろからスリーパーを極められながらも茜は首と手を同時にぶんぶん振る。だが代歩は剣呑な視線をカミュに向けたままだ。その視線を感じたのかカミュは代歩を睨み返した。

「…なんだサダコ。お前もいたのかよ」
「いたのかじゃねーよ。今日は恵美と茜と私の3人で会う約束してたんだよ。たまには日本人同士でって」
「アカネとエミをお前なんかと会わせたら男好きエロエロ菌が感染っちゃうじゃねーか」
「なんだとこら」
「やんのかよーこら」


と、いつもの調子で喧嘩が始まりそうだったがそれを止めたのが恵美だった。
恵美は無言で立ち上がると茜の首に抱きついたままのカミュの首根っこを猫を掴むかのように掴んで持ち上げる。じたばた暴れるのを構わずに代歩の対面の椅子に強引に座らせた。

「・・・いいカミュ。私が最初に言ったわよね。『清水さんと喧嘩しないならいいわよ』って。その約束もう破る気?」
「・・・・・・・・・」
「どうなの?」
「・・・・・・ゴメン・・・」
カミュは口を尖らせ、しぶしぶといった感じで答えた。

「へーん怒られてやんの、だっせー」
「サダコ、このやろー」
「清水さんっ!」

代歩の挑発に顔を紅潮させたカミュが立ち上がりそうになったのを制した恵美が今度は代歩にナイフみたいな視線を投げ返す。

「・・・悪いけどこれ以上まぜっかえさないで。お願いね」

ニコニコニコニコっ!

尖って突き刺しそうな視線と対照的に笑顔の恵美がそう懇願すると代歩は何度も頷くしかなかった。

「さ、さーて楽しいティータイムだよ3人ともっ!いやーおいしそうだねー」

いまだ注文のカプチーノはテーブルに届いていないがそう言わないと間がもちそうに無かった(笑)









「ぷはーうめー。なあエミ、もう1杯たのんでいいかー?」
「ええ、どうぞ」

グラスのミルクを一気飲みしたカミュが恵美に頼み、了解を得るとカミュはウエイターを呼んでミルクのお代わりを要求した。

「それにしてもカミュは牛乳…じゃなくてミルクが好きだよね」
「おう大好きだぜっ!ミルクいっぱい飲むと大きくなれるってパパが言ってたからなー」

パパ、カミュの父親はアンドレア・ファルコーニ。「グランデミラン(栄光のミラン)」と呼ばれ、その生涯をACミランに捧げた超名選手。アンドレア・ファルコーニは緻密な計算機のようなプレイヤーであったので、正直ファンタジックなカミュとは対照的と言わざるを得ない。


「まーお子ちゃまはミルクがお似合いだもんなー」
「へーんだ、そんな苦いこーひーなんて飲んでるほうが気が知れないよーっだ!」

代歩のからかいにアカンベーで返すカミュ。恵美や茜が同じコーヒーを飲んでいる事はこの瞬間は別の棚に上げて隠しているようだ(笑)

そんなやり取りを苦笑しながら眺めていた茜が店の外を歩くカップルを見て小さな声を上げた。そのカップルの少女のほうはよく見知ったローマイレブンであるオーラ・サネッティ。オーラは茜たちを見つけてしまったという表情をした。

「いやーデートかねオーラちゃん」
「いいじゃねーか、オフなんだからさ」

オーラは獲物を見つけたとばかりの代歩の追求に口を尖らせている。ちなみに店の中にはオーラが来て、彼氏は外で待たしている。

「なんだよ、折角だから紹介してくれよ」
「絶対にいやだ!」

オーラは首がねじ切れんばかりにぶんぶんと首を振る。
「お前みたいな男好きエロエロジャポネーゼに紹介したらマルコの純情が汚されちゃう!」
「え、エロエロジャポネーゼって…」
「大体なあ、マルコは幼馴染で5年間も片思いしててこないだやっと付き合えるようになったんだ!頼むから邪魔しないでくれよー」
 

「あ、アタシって・・・」
オーラが出てった後、代歩は顔に縦線を入れて俯いていた。

「ほ、ほら代歩ちゃんは自分に正直だから、しょうがないって。うんうん」
茜のフォローになっているかなっていないかわからない言葉が店の中に響き渡る。











しばらく話し込んだのち、4人は買い物に行くために店を出た。

「それにしてもバレンシアか。水族館とか美術館とか博物館とか一杯あるんだよなー少しくらい見れるかなー」
歩きながら代歩が嬉しそうにそう言う。代歩はこう見えて美術館めぐりが趣味だったりする(笑)
恵美と茜はそう言っている代歩の顔を怪訝そうに見る。

「あ、あのさー代歩ちゃん」
「なんだ茜。バレンシアはまだ寒いからコートは厚手がいいのかな?それとも…」
「え、えっと代歩ちゃん」

「清水さん。もしかしてあなた今度の遠征メンバーに入ってないの忘れてるの?」
「え・・・」

また代歩の顔に縦線が入った










「あったりめーだろ清水。お前グループリーグ最終戦でイエローもらったじゃねえか。累積2枚目の」
「え、だって次からは決勝トーナメントだから累積はリセットじゃ・・・」

月曜日、代歩は監督室でBucchiiに遠征について異議を唱えに行った。心配した茜もついてきている。

「リセットにならねえよ。どこのW杯と勘違いしてるんだお前は」
残念ながら女子チャンピオンズリーグでは警告はリセットされないというルール。これは男子に比べてより警告に厳しく行こうという欧州サッカー協会の思惑もあるがこの件と直接関係は無い。

「お、そうだそうだこれを」
Bucchiiが思い出したかのように1枚の紙を代歩に渡す。受け取った代歩は中身を見てまた顔が蒼白になる。

「俺たちが遠征中のお前のトレーニングメニューだ。フィジカルと肺機能強化中心のメニューだからな。楽しそうだなおい」
「が、がんばってね代歩ちゃん。応援してるからー」


もう涙は見せない。そう誓ったはずだったが(笑)
PR
【2011/06/19 22:08 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
<<巻き込まれる難民たち | ホーム | TMFAグランドチャンピオンシップ 4>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>