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【2017/10/21 23:06 】 |
巻き込まれる難民たち


茜たちASローマの面々はスペインに上陸。マドリードから高速鉄道にてバレンシアに向かう。
道中、キャプテンのジ^-ナ・デル・サルトが地元の新聞を熱心に広げている。隣に座る茜は見慣れないスペイン語の新聞を覗き見して首をひねった。

「ん、なにかしら?」
「あ、いえジーナは凄いなって。スペイン語も読めるんだ」

茜もイタリアに来て随分経つ。読み書きにいまだ難があるもののイタリア語はほぼ完璧に話すことが出来ている。
だがやはり他の言語まで手が回らないのが現状だ。

「あら、スパニッシュは私たちの学校では必修だったから」
ジーナは事も無げにそう答える。イタリアの学校の多くはスペイン語を必修科目にしている。

「ふうん。で、何読んでるの?」
茜はそのままの流れで聞いてみた。ジーナが読んでいた部分の記事、大きく写った写真は戦争で逃げ惑う市民の姿が写っていた。

「ええ、中東ね。ヘルマジスタンの内戦よ」
聞いたことがあった。ヘルマジスタンは現政権と反政府軍が熾烈な争いをしていると。
いくつもの市街戦や自爆テロによって沢山の市民が犠牲になっているとも。

「戦争の犠牲者はいつも力の無い市民よ。国連軍もいまだ介入にてこずっているんだって」

ジーナは軽くため息を吐いて新聞をとじて畳んだ。中東はここから物凄く離れている場所という訳ではない。
でもその距離だけで今のこの場所と大きく違った運命が動いているということが少女たちにどんな想いを抱かせるのだろうか。


茜は不意に思い出した。

中東、そこを生まれ故郷とする小さな少女のことを。
生まれた地を軍隊に壊滅させられながら生き残り、暗殺者として、そして今は日本で高校生として人生を歩む少女の事を。


(元気にしてるかな…キルシェちゃん)

茜は走り続ける風景を窓越しに眺めながら物思いにふけった。





ヘルマジスタン首都シーブルから西に100キロの山岳地帯の入り口。乾燥した風が吹き荒れるこの地に据えられた難民キャンプ。首都から、南や北の町から戦乱を逃れた難民たちが命からがらたどり着いたキャンプ。
水や食料などの物資もほとんど無い状態ではあるが、海外のNPO医療チームの1部が勇気を持ってこの地に残り、彼らを束ねている。
このキャンプに残るのは老人か女性、若しくは子供ばかりであり、大人の男性はほとんど全て政府軍、若しくは反政府軍の兵士として駆り出されていた。


そしていまこの地は政府軍の軍隊によって包囲を受けていた。




装甲車と戦車合わせて20台近く、そして機銃を構える兵士たち50人以上が難民たちを広場に集めさせていた。そして集められた難民たちに機銃を突きつける。力の無い女性や老人、子供たちはただ怯えて下を向き、額を地面に擦り付けて命乞いをするばかりだった。


「アッカー司令殿。どうかお見逃しください」
難民たちのリーダー格として、そしてNPO医療チームのアメリカ人医師ドニーは目の前で無表情で立つ。軍司令官アッカーに対し膝を突いて懇願していた。

「ここには老人、子供に女しかおりません。けが人も多数おり、あなた方に危害を加えようはずもありません。そして我々は司令殿政府軍に敵対する気も反政府軍に加担する気もありません。どうか」

ドニーは両手を顔の前で握り、祈るような格好をする。

「どうか、お見逃しくださいませ…」


軍司令アッカーは無表情のまま腰に挿した短銃を抜いて無造作にドニーに向けた。そして


パン


音とともにドニーが崩れ倒れた。
鮮血に染まる腹部を右手で押さえながらドニーが呻き、アッカーの顔を見上げる。

「・・・どうして、どうして・・・」

「お前たちは、餌だよ」
アッカーは下卑た笑いを見せてそう言った。そして右手を大きく上げる。それを見た兵士たちが機銃を構えなおす。難民たちは悲鳴を上げて身を寄せ合い、縮こまる。





「全員、死ね」


アッカーが右手を振り下ろした。







その瞬間、アッカーの背後の戦車と装甲車が激しく爆発した。




『パーティーの始まりよっ!』
どこからかスピーカーで増幅された女性の声が英語でこだました。


『ゲーボ1、ゲーボ2、ゲーボ3、ECS解除。各員降下』
目の前の空に不意に戦闘ヘリが3機、あらわれる。そして後部ハッチが開いてワイヤが垂れ下がり、そこから緑の迷彩服の兵士たちが次々と降下してくる。兵士たちは難民を取り囲んでいた政府軍兵士たちを逆にライフルで狙い、それだけで殆どの兵士たちは銃をおろして降参した。一部応戦を試みた兵士もいたが一瞬で取り押さえられていた。

そしてアッカーの目の前に降下してきた兵士は小さな、そして長い茶色い髪を後ろに纏め上げた小麦色の肌の少女兵士だった。
それを見たアッカーは少し安心し、この兵士を取り押さえて人質とし、この不意にあらわれた兵士たちとの交渉のカードにしようと一瞬で考えた。彼の両脇の兵士も同じことを考えたらしく、余裕の笑みを浮かべてその少女兵士を取り押さえようと手を出した。

だが少女の動きが素早かった。
腰に挿した拳銃を抜くと右の相手に発砲。肩を撃ち抜かれた兵士はもんどりうって倒れる。そして唖然とした左兵士に向かって左回し蹴りを放ち、やはりもんどりうって倒れ、両者は殆ど同時に意識を失う。
アッカーは驚愕しながらも右手に持ったままの自動拳銃を少女に向け、躊躇無く引き金を引く・・・


いや、引き金が動かない。


少女が右手で拳銃のスライド機構部分を押さえ付けていた。スライド機構が動いて撃鉄を作動させるマシンピストルタイプの自動拳銃はここの動きを止められると発砲そのものが出来ない。
そして物凄い力で拳銃をぐるりと捻った。

アッカーは悲鳴を上げる。拳銃を持ったまま捻られた右手の人差し指と中指がありえない方向に曲がっていた。
痛みに震えたアッカーの眼前に少女の顔が迫る。そして右ボディ一閃。アッカーは痛みをそれ以上感じる事も無く意識を失い、崩れ落ちた。


医師ドニーは朦朧とする意識の中、一連のそれをまるで他人事のように眺めていた。
太陽に光に反射しながら動き回る茶色い髪は輝き、神々しさすら感じさせた。
アッカーが倒れると少女はドニーに向き直り、鮮血が噴出す患部に白い布を載せた。

「大丈夫だ。すぐに医療チームが来る」

少女はペルシア語でそう、言った。

「・・・・あなたたちは、いったい・・・・」
ドニーは痛みに耐えながら掠れる声を振り絞ってそう聞いた。少女は背中を向け、周囲を警戒しながら答える。



「とおりすがりだ」



キルシェ・アーカイラムはそう、こたえた。




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【2011/06/22 20:26 】 | Killshe's story | 有り難いご意見(2) | トラックバック(0)
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有り難いご意見
お久しぶりです
こんばんは

いつの間にか新規に立ち上がっていたので驚いております。
少し前のコメントを見る限り、この間ものすごく大変だったご様子とお察しします。
まだ、人生先は長いですから気落ちせずいきましょう。

さて、時々拝見させていただくことにしますので、これからも無理せず頑張ってください。

今回はご挨拶までに。

P.S.うちのキャラも遠慮なく使ってかまいませんので。
【2011/06/28 22:48】| URL | B #7ff355e469 [ 編集 ]


無題
こちらこそお久しぶりです。
中々そちら(HP)にも伺えず申し訳ありません。
細々とやっていきますのでたまに覗きに来て下さい。

>P.S.うちのキャラも遠慮なく使ってかまいませんので。

ありがとうございます。遠慮なく使わせていただきます(笑)
【2011/06/29 19:40】| | Bucchii #4f08fb5f61 [ 編集 ]


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