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【2017/07/25 09:34 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 10 レア笑顔(笑)


ナスターシャのフリーキックがゴールネットに収まった瞬間、画面にビームを飛ばしそうなくらい凝視していた飛鳥の頭が項垂れた。
実況のジョン・カブラが『芸術的フリーキック炸裂!!』と叫んでいるのを聞かなくても今のは芸術の域に達している。
恐らくインターネットの動画サイトでもトップレベルの再生数を記録するであろう。それほどのキックだった。







「す、す、すご……」
メインスタンド、周囲の歓声の渦の中で神谷菜由は震える体で立ち上がった。
GKのプレシャス・デーデはあのシュートにきっちり反応していた。それは動きの早さを見てもわかった。
でも、
それでも止められなかった。
それほど計算されつくしたコース、そして勢い。


「溜息しかでないわね」
藤崎詩織は腕を組んだ姿勢のままそう呟いた。
世界レベルのフリーキックを持っていると言われていた詩織にそこまで言わせしめる。

これが正解最高峰のプレイヤー。ナスターシャ・シルベストリの実力。






「くそっ!」
地面を拳で叩くのはプレシャス・デーデ。
コースも読みきった。反応も出来た。それなのに止められなかった。
まだ前半とはいえ、苦もなく2点。しかもこちらの攻撃は機能しているとは言い難い。
カミュの動きも全員がわかるほどに落ちてきている。


これが本気のインテル。
勝てるはずがない。

脳裏にそうよぎっても、仕方のないことだと思えてしまう。
何度も芝を叩いている。デーデの周りでキッカ、パオラ、そしてキャプテンであるジーナまでもが下を向いて残酷なまでの力に打ちひしがれている。









「何をしてるの?」
ジーナたちの背中から声がした。
振り返ると、ゴールネットに収まったままのボールをアギー・バックが拾い上げていた。いつも無表情を貫いている彼女だったが、その瞳には明らかに苛立ちと怒りが混在していた。

「まだ前半は終わってない。あと10分あるのにぼおっとしている暇なんてない」
センターサークルにはアギー・バックに向けて大きく手を振るリルハ・イルハの姿と悔しそうに顔を歪めているカミュ・ファルコーニの姿。アギーはそちらを見やると大きく振りかぶってハンドスロー、ボールをリルハに向けて投げた。
アギーは投げた後、もう一度ジーナたちに振り返った。
「あなたたちが諦めても、私は諦めない。リルハも諦めてない」
「そやな」
別の方向から声がする。サンド・フィオーリがいつもの呑気な調子で笑顔交じりで答えていた。

「まあ、元々分の悪い勝負だったんだしな。でもさー」
そこまで言ってから大きく伸びをする。背中の骨がこきこきと小気味良く鳴っている。

「まだやり足りないよ、アタシは」
ニコニコとした笑顔の中、上気した頬から溢れる熱さ。
サンドは適当な性格だし若いからか全体を良く見てプレーするという部分では他のメンバーよりも劣っている部分はある。
だが、気持ちの切り替えの早さと奔放な性格での気持ちの高め方の上手さには一目ある。それも若さの発現という向きもあるが(笑)


「とりあえず、もう1点もやらねー。インテルは化け物揃いだけどな(笑)」

どうやって?と聞けばすぐに答えに窮するくせに決まりきったような発言だ。後先何も考えない子供の発想だ。
だが、荒みかけた心にその言葉は心地よい。ジーナは大きく息を吸って、そして吐いた。
そしてアギーの頭を撫で、サンドの肩を抱いた。


「悪いなお前たち。もう少しで諦めきっちまうところだった」


これくらいのピンチだって、力の差だってわかりきってた事じゃないか。
今のところ、打つ手が無いかもしれないけどいつまでもそうじゃない。
ミステルが「強い」と言ってくれた。その言葉を無下にするところだった。

少なくとも、私たちの周りには若くて無鉄砲だが奮い立たせてくれる仲間がいるじゃないか。
ジーナはデーデを、そしてパオラ、キッカを見た。それぞれ同じように気持ちを奮い立たせ、持ち直している。


「まだ、諦めるわけにはいかないよ」
「ええ、もう点はやらない」
「全て止めきる。命に代えても」


その様子を見たアギーは、不意に相好を崩した。
これまで殆ど見たことのない、笑顔だった。



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【2012/02/21 06:49 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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