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【2017/07/26 19:42 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 14 刹那の希望


「何とかならなくもないわよ」
恵美のその言葉に目を輝かせたカミュ。だが、恵美は更に言葉を続けた。



「その代わり、代償は大きいけど」








「代償?」
その言葉を発したのは森下茜だった。恵美はカミュから茜に視線を移して頷いた。

「そう、代償。これは橘流柔術秘伝の活法術なんだけど……」
そこで言葉を濁してカミュに向き直る。
「その秘伝で、あなたの足は痛みから解放される。ほんの少しの時間だけ」
「ほんの、少し??」
カミュが聞き返して恵美が頷く。

「ええ、時間にして15分程度。その間、痛みの中枢を神経から逃がしておくのよ。だけどね、時間が切れたらそれまで抑え付けていた痛みが一斉に来る」
恵美は身をかがめて立ったままのカミュの右足を触った。ゆっくりと擦りながら、

「それは想像を絶する痛みよ」

あまりに静かな物言いに室内はしんとなり、誰かが唾を飲み込む音がやけに大きく響いたように感じられた。




「それでも、やる?」



橘流柔術は戦国時代に生まれたとされる活殺術であり、戦場で鍛え上げられた武道であるらしい。
当時の戦において、多勢を相手にするための組み打ち術に当身術、傷ついた体を癒すための活法術である。
その中でもこの秘伝は本当にどうしようもなくなった時、動けなくなった体を瞬間的に回復して一刻を戦うなり、退却をするなりといったときに使う術であるらしい。

だからこそ、その代償は大きく、厳しい。




「……それでも」
ややあって、カミュが口を開いた。声が少し震えているのはやはり、怖いのだろう。

「それでも、やってほしい。今ピッチを離れるなんて、できない」
カミュは恵美を見据え、恵美はその眼差しを受けて頷いた。



恵美はカミュを長椅子の真ん中に座らせるとその両サイドに代歩と茜を座らせた。
「清水さん、森下さん、カミュの腕を押さえて下さい。カミュ、口を大きくあけて」
言われたとおり、代歩と茜がカミュの腕を押さえる。恵美はいつもの慈愛と優しさに満ちた表情と立ち振る舞いを完全に捨て、カミュの開いた口にタオルを押し込んだ。

「…む、むぐっ!」
「我慢して、カミュ。ちなみにこの治療も」
苦しがり、目に涙を溜めたカミュに恵美は顔を近づけた。


「物凄い、痛いから」



恵美はカミュの右足のスパイクとソックスを脱がせて患部を露わにした。そして、足先と踵を両手でそれぞれ持って……


躊躇無くぐるりと捻った。
「・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」

タオルを口に押し込まれているため声にならない叫び。しかし代歩と茜に押さえつけられている腕も物凄い力で引っ張り、ふたりは両足を踏ん張ってそれに堪えた。
恵美の持つ右足もばたばたもがこうとしているが、恵美の物凄い力で持たれている為動かない。
更に恵美が足首をぐりぐりと回す。
痛みに声にならない痛みをあげるカミュ。顔中にはっきりわかるほどの汗をかき、瞳に溜まった涙が頬を伝う。
体中が痙攣し、小刻みに震えている。
たったひとつ、自由になっている左足がばたばたともがき、恵美の顔を蹴りつけているが恵美は頓着しない。
こめかみをスパイクで蹴られ、血が滲んだまま恵美は右足首幹部を動かし、懐から取り出した長くて太い針を打ち込んだ。

「…………!!!!」
「もう少しよ、我慢してカミュ!」

ストロー式になっている針の中央からどす黒い血が飛び出す。恵美は更にもう1本、同じような針を刺した。
その治療を目の当たりにしていた選手たちはあまりの凄惨な光景に目をそらしていた。












「……終わったわ。ふたりとも、もういいわ」
恵美は2本の長い針を抜き、血の滲む右足にガーゼを押し当てる。
代歩と茜はカミュの腕を解き、だが茜はまだ震えているカミュの手を優しく握った。恵美はそのまま右足に何重にもテーピングを巻きつけている。
カミュは肩で息をしながらぼんやりとした様子で恵美が忙しく動かしている様子を他人事のように眺めていた。そして、恵美のこめかみの血を見て体を起こしてその血に触れた。

「ごめん、蹴っちゃった」
「……気にしなくていいわよ。それより、どう?」

恵美に言われ、カミュは恐る恐る右足を動かしてみた。そしてその目が驚愕に見開かれる。



「い、痛くない!痛くないよエミ!!」
「良かった。とりあえずは成功ね」


恵美は一旦嬉しそうな顔で頷いたが、すぐに真剣な表情に戻ってカミュに顔を近づけた。


「いい、さっきも言ったけどこれは恐らく15分が限界。それ以上は恐らく、立つこともできないくらいの痛みに襲われるから覚悟すること」

その言葉に、カミュは真摯な表情で頷いた。






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【2012/03/05 04:00 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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