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【2017/10/23 13:29 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 17 ミラノの戦略家


線審の旗を見てセレニーナ・ドミンゲスは安堵のため息をつく。
オフサイドを取られた代歩は笛の音に不機嫌さを顕わにしたが息を吐くと首を振って切り替えるようにポジションを下げた。

「わかったかしら?」
セレニーナの背後、ナスターシャ・シルベストリが吐き捨てるようにそう言った。
セレニーナはそちらに振り返り、それから落胆したように肩を落として頷いた。

「ああ、慢心してたようだ。あの日本人、切れてやがる」


あの飛び出し。それにシュート。
確かにセリエでもトップクラスといえる動きだ。
今のは、「たまたま」オフサイドだっただけで、次のチャンスはどうなるかわからない。


「目が覚めたよ。次からはアイツをインザーギだと思って止める」
胸を張ったセレニーナの肩をナスターシャが優しく叩く。
「それでいいわ。じゃ、信頼してあげるわ」

そう言って前線に走り出したナスターシャの後姿に、セレニーナは舌打ちをしてからピッチに唾を吐いた。

「相変わらず、いけすかねえ女王様だ」





「うーん」
メインスタンド観戦中の咲野明日香は首を捻って唸った。そして斜め後ろの藤崎詩織と佐野倉恵壬に振り返る。

「ね、今のオフサイドでした?ギリギリだったと思うんだけどなあ」
「動きがどれだけ良くても、審判がオフサイドの判定を出したからオフサイドなのよ」
詩織は明日香の質問にそう短く答える。隣の恵壬も同意の意味で頷いた。

「それよりも問題なのは」
詩織が更に言葉を紡ぐ。

「今のプレーで清水さんは最大級の警戒選手になったってことよ。その警戒をかいくぐって同じプレーが出来れば本物だけどね」






ピッチ上、茜に駆け寄ったのはカミュ・ファルコーニ。
ぼそぼそと耳打ちをして茜が頷く。そしてカミュは自身のポジションに戻った。

「何を言ったんだ?」
代歩がカミュに声をかける。
「別に気にスンナ。お前はさっきみたいなプレー続ければいいから」
何となく馬鹿にされたような感じがしないでもないが、特に反論することでもないので黙って前を見た。
確かに、代歩自身今のようなプレーがチームにとって求められることの全てであろうと、考えてはいた。


インテル間接フリーキックからの再開。
バニア・カモネージからのロングパスは中盤ジーナ・デル・サルトがヘッドで弾き返した。が、ルーズボールを確保したのはカレン・アダミッチ。
カレンから右のミランダに渡ってミランダが得意のドリブル突破を計るがその鼻先にオーラ・サネッティが躍り出る。
ミランダは突破を諦めて中央にパス。ナスターシャがそれを受けてエステルに繋ぐ。
エステルから中央フィアッカに回し、フィアッカが前を向いた瞬間、ジーナの厳しいマークに会う。

ローマの中も割に大柄な選手であるジーナとフィアッカの体格差はまるで大人と子供のようであり、そのフィジカルの差を利用してハードに当たりに行くのは自明の理である。

が、それは逆の作用を生むこともある。

(困った…ジーナさんの体が邪魔してパス出しのタイミングが測れない…)
ラインコントロールをするキッカ・コスタクルタはパオラ、そしてサンドとのDFライン構築の中でそう思いを巡らせていた。
ローマのDFは元々4バックなのだが、中でも右のローザ・ベルガメリは攻撃的に働く。サンドはいつかも書いたが、「攻撃?メンドクセー(笑)」とか言ってる選手であるが故、サイドバックというよりもCB的な役割をする機会が多い。
サイドに蓋をする的役割であるが、そうでないときは今のようにDFラインの構築に参加することも多い。

そのDFリーダーであるキッカはハードマークを敢行しているジーナの体に隠れた小さなフィアッカの動きを何とか目で追いながらラインの微調整。



ボールをキープするフィアッカ。
ジーナは激しく体を当てるようなディフェンスを敢行していたが、それをことごとくかわす。

(……小さい子とやるのが、これほどやりにくいなんて)

下手に強引なタックルをして倒れられ、ファウルを貰えばあの神業のようなフリーキックをまた浴びることになる。
ジーナはハードに行きながらもその事が頭をよぎって最後の段階で踏みとどまっている。
逆にそれがフィアッカを楽にさせてしまっている。

確立された技術に裏打ちされた戦略。
ナスターシャという戦略家は個人としてでなく、プレイヤー全員を高度な戦術に埋め込んでいく。ということか…


フィアッカが反転しながら右足を動かし、ジーナのつま先を掠めるようにパスを出した。
それに呼応するように動くツートップ。

(勇気を持って、前に……!!)

瞬間的にDFラインを上げ、フィアッカのパスがキッカの足先を抜ける。カーリー・コンティが飛び出してエリア内でボールをトラップ。GKと1対1になった。

線審を仰ぎ見る。
一瞬迷ったような素振りを見せた女性線審が一度頷いてから旗を前に突き出した。
そして主審の笛。
オフサイドの判定に歓声とブーイングが交じり合う。
キッカは電光掲示板の時計を仰ぎ見る。残り時間は42分。

(あと40分以上、このプレッシャーに晒されるのか……)

辟易としてくる。
が、やらなければいけない。
もう点はやらないと決めたんだ。

キッカは左右の頼もしい仲間を見る。パオラはキッカに向けて親指を立て、サンドは相変わらず飄々とした風にカーリーの足元のボールをかっさらってフリーキックの準備をしている。


(こっちは任せろ!だから点を取ってくれ)
前線、孤立したような雰囲気のツートップを見据えると、小さな銀髪の少女が左手を挙げていた。
キッカはサンドがセットしたそのボールを、その銀髪の少女に向けて思い切り蹴りこんだ。


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【2012/03/14 05:50 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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