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【2017/07/25 09:30 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 21 王女がきた

9分
右の茜からのクロスボール。走りこんだカミュ・ファルコーニが錐揉みするように回転しながらジャンプし、左足でボールを叩いて軌道を変える。
セレニーナ・ドミンゲスのマークを振り切った代歩の足元にボールが伸び、右足を振りぬいた。
イリノア・メッサーラがかろうじて反応、横っ飛びでシュートに飛びつくが届かず、


シュートは右ポストを掠めてバックスタンドの壁を叩いて跳ね返った。






「まずいわ……」
ナスターシャ・シルベストリは唇を噛んだ。
後半早々の得点でローマが勢いづいてしまっている。これがASローマの怖さ。
元々選手個人個人の能力はインテルもローマも大差は無い。だからこそ、士気を高揚させた「勢い」というのは馬鹿には出来ない。
この「勢い」こそがローマ最大のストロングポイントだといっても過言ではなく、過去この「勢い」に呑まれて地に伏したチームの数は多い。フィオレンティーナ然り、ヴァレンシアも然りだ。

だからこそ、ここで流れを変えないといけない。



ナスターシャは自チームのベンチに駆け寄り、椅子に座るイタリア人女性監督アントニエッタ・バンフィールドに向かってサインを出した。
アントニエッタはひとつ頷くと後ろでアップをしている選手たちから一人を指差して呼んだ。
銀色の長い髪の少女がその声で顔を上げ、ジャージを脱いでユニフォームに着替えた。



カミュ・ファルコーニはスタジアムの電光掲示板を見上げる。
時計の時間は9分から10分になろうとしていた。

(あと2点……いや、せめてあと1点……)

未だ右足に痛みは感じられないが、恵美の言うところによればあと5分が限界点。
恵美の言う、「創造を絶する痛み」はどれほどのものか想像もつかないが、恐らくそうなれば自分は歩くことも出来ないだろう。
だからこそ、動ける時間のうちに得点が欲しい。

「早くボールを寄越せっ!!」
カミュは前線でそう叫んでいた。






「清水さん、肩に力入り過ぎていませんか?」
ローマベンチ、テクニカルエリアでBucchiiと共に立つ橘恵美がそう呟いた。
後半からピッチに入った代歩はこの10分で既にシュートを2本打っている。最初のシュートこそ枠に入ったが2本のシュートとも上に跳ね上がる軌道を描いており、それはキーパーにとっては取り難い種類のシュートではあるものの、枠を外しやすいという見地もある。

「まあ、いいんじゃねえか。アイツはそれくらいが丁度いい」
少し息を荒げているBucchiiはそう呟いてピッチを見据える。恵美はその横顔を見ながら彼の体に巣くう病魔の影が更に色濃くなったことを感じていた。


「おい、見ろよ」
そんな事をぼんやり考えていると、不意にBucchiiに呼ばれて慌てて顔を上げた。
見るとBucchiiがインテルベンチを指差している。そこにはコーチから指示を受けている銀色の髪の選手がスタンバイしていた。
「早いですね、もう選手交代ですか……」
「だがいいタイミングだ。流石はインテルだな」

恵美はその選手のデータを思い出し、戦慄した。




右サイドにポジションを戻したアギー・バックがサイド突破を図ったがバニア・カモネージに阻まれる。
ルーズボールはタッチラインを割り、そこで大きな笛が鳴り響く。

インテルの選手交代。
交代ボードには「17→19」と描かれており、ベル・メイヤーとの交代だった。
ライン際に立つのは背番号19番。銀色の髪と端正な顔立ちの少女。

「姫さまっ!姫さまっ!がんばって下さい!」
インテルベンチの選手からの声にその少女は振り返る。その振り返る動作ひとつひとつが優雅で、気品に溢れている感じがする。

「ミア、私の応援はいいからあなたも準備をしなさい。私の見立てでは、あなたの出番はもうすぐよ」
「はい、姫さまと同じピッチに立てる名誉を期待して完璧に準備しますっ!」
「ええ、それじゃいってくるわ」

ベンチの選手とそう言葉を交わしたその少女はタッチラインに戻ったベル・メイヤーと両手を合わせてからピッチに駆け出した。
インテル新世代の代表格と言われるスコットランド人MF、フィーナ・ファム・アーシュライトが登場し、インテリスタから大きな歓声が起こった。



「来たか……」
ジーナ・デル・サルトが唇をゆがめて銀髪の選手を見据えた。
フィーナ・ファム・アーシュライトは古代スコットランド王国である王家の末裔と言われるアーシュライト家の正当な後継者。
見聞を広めるために日本に留学していた際、女子サッカーに触れてその才能を開花。祖国でインテルのスカウトの目に留まってインテル入りを果たした。
現在18歳と若手の部類に入るが、その実力は次代のインテルを支えるほどの逸材と囁かれている。ちなみに日本人の婚約者がいるが、ここではそれは関係無い(笑)

そのフィーナは中盤下がり目、バイタルエリアにポジショニングした。




試合再開。
ローザのスローインを受けたアギーからジーナ。そして茜へとパスがわたる。
茜は突っ込んできたフィアッカ・マルグリットのタックルを体で受けながら左のオーラ・サネッティにショートパス。パスを出した瞬間フィアッカの体を支点に反転し、オーラがダイレクトで茜に返す。理想的なワンツーでフィアッカを置き去りにした茜は更にダイレクトで前線走りこむカミュ・ファルコーニを狙って早いパスを出した。


が、その軌道に入ったばかりのフィーナが躍り出た。
茜のパスをカットし、すぐさま右サイドを駆けるミランダ・ネロにグラウンダーのパスを出した。



「来るぞ!!」
ジーナの叫びに茜は全色力で自陣に戻る。
フィーナ・ファム・アーシュライトは若いながら視野の広さもある典型的なバランサータイプのMF。
彼女がバイタルエリアの監視を受け持つということは……

ナスターシャ・シルベストリが本格的に攻撃を見据えたということ。
それが意味することがわかっているローマの選手たちは緊張の糸を張り詰める。


ここから、インテルの更なる本気の攻撃が始まるということだ




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【2012/03/26 11:06 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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