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【2017/04/24 00:49 】 |
忘れることなんて、できないので……
(2期決定を喜ぶたまゆらFANのためにw)



桜花杯決勝戦が終わり、広島極楽バタフライ一行は深夜の高速を東に向けて走っていた。
試合を行ったSCMやDMSなどは福岡のホテルに泊まっているのだろうが、観戦だけで来た彼女らはそんな余裕(主に金銭的な事情)はないので、バスで帰路となっている。


クラブハウスは商工センターの片隅ではあるが、そのかなり手前である竹原にバスは停車した。







「んじゃあ、来週から再始動だからそれまでゆっくり休んでね」
HGBキャプテン朱鷺宮神依がバスから降りた4人に声をかける。4人の先頭の塙かおるは笑顔で大きく頭を下げた。

「おつかれーっした!」
「おつかれーっし」
「♪~」
「お、おつかれさま、なので……」

4人それぞれの挨拶に神依はニコリと笑顔を見せ、その後ろ座席に座る水無月琴子は明らかに不機嫌そうな表情を覗かせるが4人は琴子の表情まで窺うことはできていない。
そしてバスが出ると4人は並んで小京都と呼ばれる見慣れている町並に向かって歩き出した。


「いやあ、凄い試合だったねえかおたん」
「かおたん言うな。でも確かに凄かったね」
岡崎のりえと塙かおるのやりとりを聞きながら桜田麻音は同意の意味の口笛を吹いて頷いた。
ローライを両手に持った「ぽって」こと沢渡楓は下を向いたままぼんやりと話を聞いている。





お父さんは、サッカー選手だった。
有名な選手で、オリンピックの日本代表で戦ったことだってあった。
自慢のお父さんだった。
写真を撮るのが趣味だった。
私は、そんなお父さんが大好きで写真を教えてもらったし、ボールの蹴り方も教えてもらった。
小さいときは休みの度にこの竹原に連れて行ってくれて、かおるちゃんやさゆみお姉ちゃんと一緒にサッカーをやった。
ボールを蹴るのはとても楽しかった。
だから横須賀に戻ってもサッカーチームに入って毎日ボールを蹴っていた。
お父さんは試合や遠征で忙しいのに、いつも私や香にサッカーを教えてくれた。
サッカーがどんどんどんどん、大好きになっていった。


でも
でも
でも


お父さんは試合のあと、倒れた。
急性心筋梗塞だった。
大事な試合だったらしい。だから無理をしたんだとお母さんから聞いた。
サッカーがお父さんの命を奪った。
私は竹原に来るのをやめた。
ボールを蹴ることもやめた。
サッカーが嫌いになった 写真が撮れなくなった。





「…………ぽって、ぽってってばっ」
目の前にかおるの顔がずいと現われてやっと楓は呼ばれていることに気がついた。
「あ、あわわ、ご、ごめんなさい…なので」
「試合、どうだった?」
「あ、えーっと……」

かおるの問いかけに言葉を濁していた楓。その様子を見たのりえが二人の前に顔を出す。

「でもさ、ぽってたん写真撮るのを忘れるくらい試合に熱中してたよねー」
「あ、いや、えと……」

顔を赤くして言葉に詰まる楓。かおるはひとつ息を吐くとニヤニヤと楓のうろたえ振りを観察しているのりえを制した。
「ちょっと何?かおたん」
「はいはいそこまで。ぽってが困ってるよーってかかおたん言うなって」
ぶーぶー言うのりえを押しのけてから楓に向き直って片目をつぶってウインクした。




中学2年のとき、弟の香がお父さんの撮った写真を見つけて見ていた。
お父さんが死んじゃってから、私は写真を見るだけで悲しくなってしまっていたのでお母さんに頼んでアルバムや遺品を全部隠してもらっていた。
香は楽しそうにアルバムをめくっていた。私も一緒に見た。
悲しくなかった。
それどころか、楽しい思い出ばかり頭に浮かんでくる。

時間が、
悲しみを乗り越えさせてくれたのか。

私は、お父さんの残してくれたこのカメラで写真を再び始めた。
そして、竹原に行く、いや戻ることを決めた。
竹原に戻るとかおるちゃんはサッカーを続けていた。
写真は始められたけど、サッカーはまだ無理だった。



忘れることなんて、できないので……


















でも、なんだろう、
この気持ち
あの試合のあと、ドキドキがずっと止まらない。
お父さんを奪ったサッカーなのに


こんな気持ちになるのは
どうして?






わくわく
どきどき


わからない、ので……



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