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【2017/07/25 09:27 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 25 持つ者


代歩に背を向けてぶつぶつと呟く茜。
不意に大きく深呼吸をすると茜は代歩に振り返った。

優しげな微笑。

「大丈夫、うん、大丈夫だよ」

僅かに首を傾げて微笑んでいる茜。
代歩はほんの一瞬、その表情に見とれてしまった。


「勝とう。うん、勝てるよ」

次に茜はそう呟いた。





スタンドの歓声が狂気に似たほどに沸きかえっている中、菜由は椅子から立ち上がっていた。その肩が小刻みに震えている。
茜のあの動き、以前見たことがある。

もはや伝説となったあの最終節、ラツィオ対ミランのあの試合。
「神の子」と評された茜が、帰ってきた……




ローマのコーナーキック。
アギー・バックがゴール前に蹴りこむがカレン・アダミッチが簡単に弾き返してエリア外に。受けたナスターシャ・シルベストリが右サイド既に走り出しているミランダ・ネロにボールを送った。
自陣に向かって走り出す茜の横顔を見たナスターシャの表情は歓喜に満ちていた。

(遂に目覚めてくれたわね。これが見たかったのよ、アカネ)
あっという間に小さくなる後姿を目で追いながらナスターシャは頬を上気させてほくそ笑んだ。


(でも、そんなあなたを完膚なきまで倒すのが楽しみなのよっ!)





ミランダのサイドアタックはオーラ・サネッティが封じて不発。ミランダは中央後ろのフィーナに戻した。
フィーナから前方のナスターシャに綺麗にパスがわたる。
ナスターシャが右手を大きく掲げた。


(じゃあ、これはどう止める?! アカネっ!!)












「橘、俺ちょっとトイレに行ってくるわ」
テクニカルエリアからスタンドに向かうBucchii後姿に恵美は憤怒の表情を隠そうともせず叫ぶ。
「ちょ、試合中ですよミステルっ!」
「全員にアップ指示。いつでもいけるように準備させておけ。あとカミュはまだ代えるな」
Bucchiiは振り返りもせず、ただ右手をヒラヒラさせながらそう伝えた。恵美はその後姿を睨み付ける。

Bucchiiは左手で下腹部を強く掴みながら顔を歪ませている。

「あとちょっとだ、あとちょっとなんだよ……」
小さく、そう呟いた。










ナスターシャが右手を掲げた瞬間、茜がその眼前に躍り出た。激しいチャージで体を叩き付けた。

(出所を阻止ね。いい選択だわ……でも)

ナスターシャはタックルを受けながら右足踵でヒールパス。後ろのフィーナにボールを戻した。そして反転、茜の脇を駆け抜ける。受けたフィーナの右手が大きく上がり、複雑なサインを作り出す。

(サインの出所は私だけじゃないわよ、私だけ止めても無意味)

そのフィーナにはアギー・バックが向かうがその前にフィーナの右足が振りぬかれる。さっきと同じ右にパスが伸びた。



だが、そのパスは走り出すミランダには届かず、その途中で茜の右足がカットした。


(!!!)
(!!!)

茜から一気に前線の代歩にロングパスが伸びるがセレニーナ・ドミンゲスの頭に阻まれた。

弾かれたボールはバニア・カモネージが確保しフィーナに戻す。
フィーナからエステル、そこからナスターシャにボールが渡った。


(読まれた? まさか……)

ナスターシャが右手を挙げてサインを出した。そのナスターシャに向かうのはジーナ・デル・サルト。
ジーナの突進を交わしながらナスターシャは前方カーリー・コンティに楔のパスを出して自身も前線に走るが、その楔が切れる。

またも茜の右足がそのパスを阻んだのだ。
右足でトラップし、ナスターシャに正対する茜。その表情は穏やかであり、そのまま見つめあう格好になる。



不意に茜の右手が大きく掲げられる。そして、その右手の5本の指が複雑に動き出す。
それを見たナスターシャの表情が驚愕に変わる。

(サインプレー?! どういうことなの??)

そして茜の右足が振りぬかれる。右サイドアギー・バックへの長いパス。走るアギーに綺麗にパスが通った。



(今のサイン……右のMFから後方走る右サイドバックにバックパス。そこから中央に……)



アギーの前に立ちはだかるバニア。アギーは後ろを向いて後方走りこむローザ・ベルガメリに短いバックパスを送る。ローザはワンタッチで中央走りこむ茜にパスを出した。
茜はダイレクトでグラウンダーのパスを左に出した。中央切れ込む動きをしていたオーラに渡り、そこからエリア手前を横断するようにパスが伸びる。ローザにパスを出した後バニアをかわして駆け込んだアギーがそれを受けてシュート。
エリア外からのミドルだったがきっちり枠に。だがイリノアの正面。余裕を持ってキャッチされた。




(完全に一致したっ!完璧に読まれている)
ナスターシャの脳裏に、初めて「畏怖」の感情が芽生えた。
その畏怖の対象、森下茜の表情はいまだ優しげな微笑を浮かべたままだ。



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【2012/04/17 06:47 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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