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【2017/10/23 13:29 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 26 鳥の目


(どういうことなの?!)
ナスターシャ・シルベストリは戦慄を抑えきれないままこの攻撃を演出した森下茜の横顔を仰ぐ。
優しげに見えていたが、その中にいつもあるはずの慈愛は影を潜め、凛とした表情の横顔にまた戦慄を覚えた。







「なるほどね、これがサインプレーの攻略法ってことね。わかってみればひどく単純だったのね」
先ほどから頬杖を突いた姿勢のまま全く動く気配の無い藤崎詩織はそう呟いた。斜め前で興奮気味にピッチに声を張り上げていた咲野明日香は眉をひそめて振り返った。

「攻略法?」
先に声をあげたのは明日香ではなく詩織の隣に座る佐野倉恵壬だった。
「ええ、攻略法というよりは、種明かしと止める術といえばいいかしらね」
詩織はつまらなそうな、それでいて試合開始前よりは幾分熱のこもった声でそう答えた。

「サインという概念に惑わされて本質がぼやけていた、結局ナスターシャはボールを保持した瞬間、ゴールにいたる道筋を決めてそのように味方を動かすサインを出し、その通りにプレーをするのがサインプレーの本質なのよ」

「いや、詩織さんそれ当たり前じゃ……」
明日香は笑いながら反論を試みるが詩織は首を振る。

「そう、当たり前だけどこれが中々大変なことなのよ」

詩織は明日香に向かって微笑むとピッチのほうに目を向けた。ちょうどイリノア・メッサーラがハンドスローでボールを前に出したところだった。歓声がけたたましくスタジアムを包んでいく。


「つまりは、サインを出した瞬間にボールの動きと選手の動きは決まっているのよ。だからそれがわかれば簡単にボールを奪える」
「つまり、サインを見破る?」
恵壬の言葉に詩織は軽く首を振る。明日香は首を傾げる。

「サインなんかわからなくてもいい。つまりナスターシャが決めたゴールへの道筋を読めばいいだけ。その瞬間最も効率的、効果的にシュートまで持ち込める道筋をね」


イリノアからのボールはカレン、そしてフィアッカを経由してナスターシャの足元に到達。その目前に茜が詰め寄った。
ナスターシャは一旦ボールをドラッグしたが激しくチャージをかける茜を嫌がるようにバックパス。フィーナへ送った。


「なるほど~そういうことなら……でも、それって」
明日香がぱっと明るい表情を作ったがすぐにそれは驚愕に変わる。詩織はそれを見て頷いてから微笑んだ。

「そう、それは単純だけど恐ろしいこと」


言うだけであれば簡単。だがそれを実行できるとなれば話は別だ。
つまりナスターシャはボールを受けた瞬間、その瞬間の味方の位置、敵の位置を全て把握しそこからどのように敵が動くかを予測。それをした上で最適かつ効率的にボールを回してシュートまで持ち込めるルートを決定してサインを出す。恐らくボールを受けて1秒以内にそれら全てを決定する。

「女性って、脳科学的に言っても空間把握能力が男性に比べて大きく欠如しているの。それなのにあれだけ正確に敵味方の位置関係を把握できる。それは才能ではなくたゆまぬ努力と研鑽よ。尊敬に値する選手よ、ナスターシャ・シルベストリは」

だからこそ、その決められた攻撃を止めるためには彼女と同じ目線を持つ必要がある。
サッカー界に置いて偉大なる司令塔が持つというピッチを上空から見る「俯瞰の目」、つまり「鳥の目」。




森下茜にもそれがある?




ナスターシャからのバックパスを受けたフィーナは多少の迷いを見せながら左サイドのバニア・カモネージに送る。
サイドからの突破を試みるがアギー・バックのチェックにより頓挫。バックラインまで戻ったボールがCB間で往復される。インテルの攻撃が停滞した。




「でも、その解説じゃ説明できない部分があるわね」
そう呟いたのは佐野倉恵壬。詩織に顔を向けず、ピッチを見据えたままだった。

「じゃ、森下さんが見せたサインは何?展開を読むだけではサインは読めない筈」
「…………はったり?としか思えない……」

詩織は珍しく口ごもるような口調でそう答える。
そう、説明できない部分は確かにある。
その部分こそが森下茜が「神の子」と呼ばれるところなのか?
不可解な疑問を残しつつ、試合は後半25分を過ぎた。




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【2012/04/27 04:13 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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