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【2017/05/24 22:31 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 30 伝説的


後半34分、
この日、カミュ・ファルコーニは伝説を作り上げた……







左手を高々と挙げつづけるカミュ・ファルコーニに仲間たちが駆け寄る。
そのまま飛びついての手荒な祝福を開始しようとしたが、最初にその場に着いたオーラ・サネッティの腕に崩れ落ちた。


「カミュっ!カミュっ!!」
涙すら浮かべそうな表情の森下茜がその場に駆け寄ったとき、既に橘コーチの判断で救護班の担架が運ばれているところだった。カミュは茜の顔を見つけると大きな瞳を半分閉じて朦朧とした様子ながらも笑みを浮かべた。

「ごめんな、さすがにもう駄目だ……」
「ううん、私こそ無理を押し付けて……」

茜が担架に乗せられたカミュの右手を掴む。弱々しいながらもカミュはその手を握り返した。
ふと気がつくと代歩が神妙な顔をして茜の背中側からカミュの顔を覗きこんでいた。
カミュは薄笑いに似た笑顔を茜と、そして後ろの代歩にも向けた。

「ううん、いいんだアカネ。アタシは嬉しかったんだから」
「……嬉しかった?」
不思議そうな顔をする茜の手をカミュはもう少し強く握った。

「最後まで、アタシを忘れてくれなかったことに。最後まで、あてにしてくれたことに」

あそこで怪我人であるカミュにパスをする選択は、きっと優しい茜にとって苦しすぎる選択だったのだろう。
だからこそ、カミュにはわかる。
それだけ勝利を願うことを。そして、カミュが悔いなくピッチを離れられるようにと。



「だから、アカネ」

少し首を動かし、茜の顔の正面を向く。




「ありがとう」



その瞬間、アカネは両の瞳から涙を溢れさせながらカミュの右手を両手で強く握って嗚咽した。
両手で包んだカミュの手のひらにキスをするように顔を押し当てて、そして肩を震わせている。
後ろで何も言わず、代歩がアカネの肩を持って赤ん坊を寝付けるように叩いている。

カミュは次に代歩に顔を向けた。
代歩は神妙で真剣な表情を崩さずにカミュの瞳を見返した。


「あとは、頼むな、さだ……いや、カホ」
「ああ」
カミュが茜に握られていないほうの手で拳を作って出す。代歩は笑顔になってその拳と自分の拳を突き合わせた。
それが合図になったかのように担架が持ち上げられた。茜は握っていた手を離し、救護班が運んでいく担架を見ながら涙を擦った。






「すぐいけるんだな?」
「はい、準備完了です」

Bucchiiと橘恵美がそう言いあい、ヘッドコーチが交代を告げたところだった。
タッチラインにウィルマ・ビショップとイルマ・ベルトットの二人が並んで交代を待つ。
カミュ・ファルコーニと体力限界のローザ・ベルガメリとの交代だった。
負傷騒ぎの中ということもあって交代は素早く了承され、ふたりはピッチに足を踏み入れた。
ウィルマ・ビショップはそのままローザの勤めていた右サイドバックの位置に入り、イルマはセンターサークル内で試合再開を阻んでいたジーナ・デル・サルトの元に駆け寄った。

「ジーナ、ミステルから全員に伝言」
「なんだ?」

イルマは背伸びをしてジーナの耳元に口を近づけてからぼそぼそと呟く。ジーナは数度頷いた。

「了解、他の奴ら全員に伝えてくれ」
「リョーカイ」

イルマはそのまま走ってインテルゴール前でカミュを見送った選手たちにそれを伝えに行った。








客席では歓声が鳴り止まず、立ち上がって試合を見る者や、座っている者はその場で足踏みを始めてその音と揺れがスタジアム全体を揺るがし始めていた。

「凄いわね。3人……ゴールキーパーも入れると4人抜きかしら。マラドーナには負けるけど、それでも怪我を抱えながらのプレーには見えなかったわ」
藤崎詩織はようやく頬杖を付くのをやめて、少し身を乗り出して試合を注視している。
菜由はそんな詩織の横顔を覗き見て、肩をすくめる。

深い傷を負いながら、それでも凄まじいプレーを見せ付けたカミュ・ファルコーニ。
同じう深い傷を抱えている彼女にはその姿がどう映ったのだろう。
多少紅潮したように赤みを帯びた彼女の頬を見て、心に火がついたのかも? と、期待せずにはいられなかった。










残り試合時間10分。
遂にASローマが同点に追いついた。



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【2012/05/18 09:27 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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