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【2017/07/25 09:34 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 31 吹雪の坩堝


救護担架で運ばれたカミュ・ファルコーニ。
そのまま医務室直行かと思われたがローマベンチで降ろされた。そこに橘恵美が駆け寄った。




「……カミュ……」
「えへへ、見てたかエミ……」

恵美はその問いに答える代わりに彼女の頭をぎゅっと抱きしめた。
無理をしたとか選手生命の危機であるということなど色々含めて言いたいことは沢山あったのだが、それら全部を喉元に残したまま、抱きしめてしまった。
もう何も言えない。
この小さな戦士はチームの為に戦いきった。
ならば、私がやることはひとつだ。

「足、見せて」
恵美は抱擁を解くとそう言ってカミュの右足を持って持ち上げた。カミュは痛みに顔をしかめた。







試合が再開され、インテルがナスターシャを中心として攻め込み、それをローマが弾き返して速攻という形が多くなる。
ナスターシャは得意のサインプレーを封じられたがそれは連携が悪くなることではない。
組織的熟成が進んでいるインテルにとって、ならば普通にやればいいだけである。
対するローマも右サイドバックのローザをウィルマ・ビショップに代えたこともあり、最終ラインがより守備的になってインテルの最後の攻撃を退けている。


「ここで、守備的駒の投入は意味不明……って思ったけどこれで意図がはっきりしてきたわね」
「そうですね。これで森下さんが攻撃に集中できる」

メインスタンド、藤崎詩織がそう呟き、隣の佐野倉恵壬がそれを受ける。
ローマは元々いわゆる「守備ブロック」と「攻撃ブロック」を明確に分けてくる戦術を取る。
それは個人的能力をベースにした戦術であるのだが、カミュ・ファルコーニなど圧倒的な攻撃タレントを抱えるローマにとってそのやり方は比較的楽に実践できる方法であるといえよう。

ただ、今はそのファルコーニはいない。
それでもこの戦術が機能するのは森下茜の存在だろう。
「神の子」などと揶揄されたその力によって圧倒的なパフォーマンスを見せ、それが推進力となってローマの勢いが持続しているように感じられた。


サイド攻撃を諦めたエステル・ヴァルディオラからのバックパスを受け取ったナスターシャ・シルベストリが前を向いた。
その時眼前に森下茜の姿が躍り出て、ナスターシャは嬉しそうに微笑んだ。

スタジアムの歓声は最高潮に達し、踏み鳴らされる足の音も唸り声のように全体を包んでいる。
ピッチ上空、ヒラヒラと舞い落ちる新聞紙を細かく切った紙吹雪が見えた。
それを合図とするように客席から一斉に紙吹雪が投げ入れられる。たちまちピッチ全体にその吹雪が広がっていった。

ギリシャなどアテネ圏では恒例となっているこの紙吹雪がイタリアでも稀に見られる。
それは、素晴らしい試合を繰り広げる両チームをリスペクトする意味で、客席の皆が選手たちにお礼をしているようなものだ。
正直滑るし視界が悪くなるしで、選手たちにとってははた迷惑なのだが。



ナスターシャは舞い落ちる紙吹雪と正面の茜とを交互に見据える。
「それじゃ、期待には応えないといけないわね。アカネ」
「うん、そうだね」

顔を上げた茜が微笑んでそう答える。
その言葉が終わった瞬間、ふたりは同時に動き出してその場で激突した。




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【2012/05/27 06:02 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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