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【2017/07/26 19:42 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 34 違和感を


「だって、代歩ちゃんあてにならないんだもん」
森下茜がイタリア語でそう呟いた瞬間、代歩は体中の血が逆流していく感覚に囚われた。
つまり、頭に血が昇ったのだ。







「……お前っ!!」
昇る血の叫びに逆らわないで代歩は茜の体を押し離した瞬間胸倉を掴んで捻りあげた。
それを見た周りの選手、そして主審が異常を察知して駆け寄る。
茜は掴まれていながら笑顔を崩さずに代歩を見つめている。


「お前たち、やめろっ!」
ふたりを引き剥がしたのはローマのキャプテンであるジーナ・デル・サルトだった。
中盤底を締め上げる役割を一手に担うジーナは割に華奢な体つきからは想像できない力強さを持っている。
今回もふたりの間に腕を入れると物凄い力で引き離す。

茜と代歩が2メートルほどの距離を置いたとき、また茜が口を開いた。

「とにかく、当てにならない代歩ちゃんに出すパスは無いから」
流暢なイタリア語で優しげな表情のまま明るく毒を吐く茜。旗から見れば少し異様な光景に写るのかもしれないが、言われた代歩はそんな事はお構いなしだ。

「てめえっ!!」
もう一度茜に飛び掛ろうとする代歩をジーナがふたりの間に入り、代歩を背中で押さえ付ける。ピッチ内は騒然となり、インテリスタから囃し立てる声とロマニスタからの怒号が混じりあう。
ジーナが代歩を押さえつけているからか、茜は笑顔のまま悠然と代歩のすぐ脇を歩いて自分のポジションに戻る。
そして、代歩の隣まで来たときにぼそりと小さな声で何かを呟いた。
代歩と共にそれを聞いたジーナだったが、何と言っているのかわからなかった。
自分の理解に無い言葉。恐らく、日本語だったのか


代歩はアカネの背中を見送りながら苛立つ様子そのままに芝を思いっきり蹴りつける。ジーナがなだめるように肩を数回叩いてやはり自分のポジションに戻る。
戻りながらジーナはベンチを見やる。スーツ姿でテクニカルエリアを仁王立ちしているBucchiiとカミュの治療を終えた橘恵美が何も言わずただピッチを見据えているのが見えた。


(ミステル……これでもあの指示を守れって言うんですね……)


Bucchiiの無言の証を感じたジーナは大きなため息を吐いて走った。















くそ、くそっ何なんだ茜の奴
まさかあんなこと言うやつだなんて思ってなかった
確かに今日は枠外しまくってるけど、それはアタシが調子悪いからじゃない
あの汚ねえDFが小賢しいことやるからだ
それにもう同じことは食らわないし今だって完璧に振り切った
それなのにどういうことだちくちょう
笑顔で抱きしめて言う言葉じゃねえだろって、何考えてるんだ……



と、そこではたと思考を止めた代歩。
驚愕して振り返り、アカネの後姿を目で追った。

そう、違和感だ
どうしてあの子は……

考えろ、考えろ、考えろアタシ

そして、代歩に向けた茜の最後の言葉に行き着く。
あの時茜日本語で、

「わかって……」

そう呟いた。



「……もしかして……」
代歩はひとつの答えに行き着き、顔を上げた。

なら、アタシがやることは

















そして、インテルのゴールキックで試合再開。時間は既に43分を回っていた。
大きく前線に蹴りだすイリノア・メッサーラ。滞空時間の長いロングボールは悠々とセンターラインを超えて飛び、落下点でジーナとエステル・ヴァルディオラが競り合う。
ジーナが頭でボールを捉えて左に流してオーラ・サネッティがそれを確保した。


(さっきのやりとり、違和感がある……)
ナスターシャ・シルベストリは代歩と同じようにそう考えていた。
いくら今日結果が出ていないとはいえ、シミズはイタリア中を見渡してもトップクラスのFWであり、それを切り捨てるという選択をアカネが取るのは考えにくい。

オーラからイルマ・ベルトットにパスが渡りそこから逆サイドのアギー・バックに渡る。アギーからジーナ、そしてオーラにボールが戻り、そこから茜に繋がれた。
茜が前を向いた瞬間、フィアッカ・マルグリットとフィーナ・ファム・アーシュライトが挟み込むように詰めた。
茜は体を左右に振りながら二人の間に体を割り込ませて強引に抜きにかかる。

強引に二人を抜いた茜はやはりすぐにミドルシュートを放つ。だが今回はコースに飛び込んだカレン・アダミッチの左肩にあたってタッチラインを割った。カレンは痛みに顔をしかめた。


(引いた相手を前に出すミドルシュートは戦術としてはひどく妥当……)

そしてナスターシャは今さっきの場面、強引に抜きにかかった場面を思い返す。
あの時アギーも前線に駆けてボールを要求していた。だがそれを無視してミドル。しかも二人を抜くリスクを犯してまで……

そしてひとつの回答に思い当たる。




(あの子、もしかしてひとりで試合を決めようとしている??)
2本のミドルに至る過程。茜は確かに一人で突破、若しくはシュートを選択している。他の誰かに任せるという素振りは一切無かった。
神の子、その力を存分に振るうために。
私に勝つために



ナスターシャはニヤリと笑うと大きく右手を掲げてサインを出した。インテル選手全員がそれに注目して頷いた。

なら、残り時間全てを賭けて守りきるわよ。
ひとりで試合を決めるなんて驕りたかぶり、いえ暴走を許すわけにはいかない。
そんな神なら、私は負けるわけにはいかない。




遂に電光掲示板の時計が44分を回った。
試合は佳境を迎える



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【2012/06/04 06:19 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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