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【2017/05/24 22:33 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 35 最悪の偶然


『さあ、残り時間1分をまわった!そしてロスタイム表示はのこり4分!!』
『まだいけますよ。逆転は充分いけますよ』


テレビの中の実況ジョン・カブラの絶叫と北澤豪の解説が響く中、ホテルで鑑賞中のSCM面々は食い入るように画面に身を乗り出している。

「森下さんっ!森下さんっ!森下さんっ!」
叫ぶような、そして祈るような大きな声をあげる本田飛鳥。
決着はもうすぐ。





歓声は坩堝と化してスタジアムを包み込む。
紙吹雪の飛散はとどまることを知らずにピッチを吹き荒らし、足踏みの音と悲鳴が交叉する。

拳を握り締めて試合を注視していた咲野明日香の後方で立ち上がる気配。振り返ると藤崎詩織が立ち上がっていた。
詩織は大きく息を吸い込む。

「負けないで!森下さん!勝って!清水さん!勝って!ローマ!」

その姿を唖然として見守った明日香、恵壬、そして菜由。
詩織は少し気恥ずかしそうな表情を少し見せた後、すぐにピッチに向きなおる。

「声をあげる、鼓舞する。それが今の私にできる事。だから……ね」

ニコリと笑顔を見せた菜由が立ち上がる。恵壬も、そして明日香も立ち上がる。

「いけーっ!負けるなー!!」
「もう少しよ!最後まで諦めないでっ!」
「勝ってー!茜、代歩ー!」


「はっはー、熱いなやはり」
その様子を見るアントニオ・ダンテは大きく笑いながらそう呟き、キルシェは不思議なものを見るような目をしていた。














「インテル、守りに入りましたね」
ローマサイドテクニカルエリアで橘恵美はそう呟いた。
左肩にBucchiiの手が置かれ、重さと力が恵美の体に圧し掛かる。
既に立ってられないほど憔悴しているのか? Bucchiiは荒い息を吐きながら恵美の言葉に頷いた。

「ああ、やっとナスターシャも引くことを選択した。その選択を導き出させた事は大きいぞ」
か細い声が恵美の耳元に届く。いつもの自信に満ち溢れた男らしい声ではない。だがそれは間違いなくBucchii本人から放たれた声だ。

とは言え、ローマのDFラインに張り付き続けるティアナ・バイオレットをそのままにしているあたりはナスターシャの狡猾さがわかる。
インテルもやはりひとりで試合を切り裂くアタッカンテを有しているのだ。


45分をまわり、試合は中盤でのボールの奪い合いが多くなる。
インテルが攻め気を無くした事によりローマのDFラインがセンターライン近くまで上がる。半分になったピッチでのボールの奪い合いが激化するのは必然というべきか。

そんな中森下茜の3本目のミドルシュートが放たれる。だがコースに体を入れたフィーナ・ファム・アーシュライトが頭で弾く。


(……枠に近づいてきている……)
GKであるイリノア・メッサーラは弾かれたとは言えそのシュートの予想軌道を頭の中で思い描いて戦慄する。

弾かれたボールがふわりと上がり、その落下点に選手たちが殺到する。
中盤バイタルエリアで守備に参加しているカーリー・コンティとジーナ・デル・サルトが競り合い、僅かの差でカーリーが競り勝ってボールをローマサイドに向けて弾く。ティアナを狙ったものだったがキッカ・コスタクルタが先に動いてインターセプト。すぐそばのイルマ・ベルトットにボールを預ける。
イルマは受けてトラップ。迫るフィアッカとエステルが到着する前にシンプルに前に出す。茜が中央でそれを受けた。


反転、前を向いた瞬間ナスターシャ・シルベストリが踊りかかる。


茜がボールを持った瞬間、DFライン上の清水代歩は外に逃げる動き。マークに付いているセレニーナ・ドミンゲスは怪訝な思いを抱きながら体を合わせていく。

(ボールを貰いにいく動きじゃない……)

ナスターシャも後方のその動きを察知している。
さっきの3本目のミドルシュートもそうだ。少し前の騒ぎのあと代歩はボールを貰う動きをやめている。
貰う動きではなく、コースを作る動き。
外に逃げることにより茜にシュートコースを作っている。
ふたりのジャポネーゼの信頼関係はそういう風に動いていくのか?

代歩の動きに多少の違和感を覚えながらもナスターシャは茜に詰める。詰めなければすぐさまロケット砲のようなミドルシュートがくる。



茜は構わずに右足を振り上げる。詰めながらナスターシャはシュートコースを切る。
だが、アカネの足はボールの僅か外側を抜けていく。そして戻り際ボールを逆に弾いてナスターシャの逆側を抜ける。

「クライフターン!」

ナスターシャを抜いた茜がもう一度右足を振り上げそして振りぬいた。
代歩が作ったそのシュートコースを白い軌跡が抜けていく。ゴール右隅を狙ったそのロケットシュートにイリノアが飛びつく。

だが、シュートはイリノアの右手をすり抜けて……
クロスバーに激突、響き渡る反響音と共にボールは逆に大きく跳ね返った。


ロケット砲の勢いそのままに跳ね返ったボールは大きく上空を飛び、インテル陣内を飛び越えてセンターライン付近、ティアナ・バイオレットの足元に収まった。

ティアナはその偶然に驚きながら、そしてその幸運に笑顔を見せてローマゴールに体を向けた。





その瞬間、ロスタイムが3分経過した

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【2012/06/10 05:44 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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