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【2017/08/20 03:38 】 |
第33節 Internazionale Milano vs Associazione Sportiva Roma 37 最後の……



東京都内某音楽スタジオ。
ニューアルバムのレコーディングの後、すぐさまマキシシングルのレコーディングに取り掛かっている「彩」。
新曲のミックスダウンも深夜に渡り、スタッフらと共にメンバーもこのスタジオに寝泊りしていた。

人の寝静まったスタジオ内の休憩室。小さなテレビの光が暗い部屋に漏れていた。
その画面をじっと見つめている美咲鈴音は真剣な眼差しだ。
その時鈴音の隣に人の気配。横を見ると見知った笑顔が両手に温かそうなコーヒーを持っていた。

「鈴音ちゃん、サッカー?」
「あ、はい……ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」
鈴音は顔を赤らめて申し訳なさそうに下を向く。その笑顔の主は軽く首を振ると左手に持ったコーヒーカップを鈴音に手渡した。ふんわりと温かい湯気とコーヒーの匂いが鈴音の鼻をくすぐった。

その笑顔の彼は「彩」バンドリーダーでギタリストである。
そして、鈴音の初恋の相手でもあった。その想いは結局届かなかったのだが…


「ふうん、女子セリエだね」
その先輩が鈴音に笑顔のままで聞くと、鈴音は軽く頷いた。
「はい、引退したとはいえ、やっぱり好きみたいです。サッカー」
鈴音は、テレビ画面に視線を戻しながら小さな声でそう言った。







寸前でゴールを守ったウィルマ・ビショップからのボールを受けたキッカ・コスタクルタはスタジアムの電光掲示板を見る。
ロスタイムは既に3分50秒。主審を見れば腕時計に目をやっている。

これがラストプレー。

キッカは左右を見渡してから右足をボールに叩き付けた。











「これが、ラストプレー……」
テレビ画面を見据えながら鈴音はそう呟いた。隣で同じように試合を見る先輩も同じように頷いた。
鈴音は先輩を横目で見て、そしてテレビ画面に視線を戻してからまた口を開いた。

「皮肉なものです。サッカーから離れてから、色々見えなかったものが見えるようになりました」
不意に脈絡の薄いことを言い出した鈴音の顔を見た。その表情はひどく穏やかだった。

「森下さんは積み重ねてます。そして、清水さんもきっとわかってます」
鈴音は明解に、そう断言した。













(左右同時に動いたっ!)
キッカがボールを持った瞬間、右サイドアギー・バックと左サイドオーラ・サネッティが同時に前進を開始した。
これまで「つるべ」の動きをしっかり守ってきたこの両サイドが同時に動くということは……

(勝負を賭けてきた……ってことね)
ナスターシャは瞬時に理解した。
ということはここを抑えきれれば同点で決着。つまりスクデットはインテルのもの。
ナスターシャは周りを見渡し、選手たちを見渡した。
味方である選手たちも皆、その事は十分承知しているとその表情から窺い知れる。
ナスターシャはひとつ頷くと大きく手を叩いた。

「さあ、これが最後の勝負よ!気を引き締めてっ!」



キッカが選択したのは左。オーラ・サネッティだった。
テクニカルでパスセンスもあるアギーだったが、やはり最後の最後となれば力押し。走力の上回るオーラを選ぶのは致し方ないことか。
アギーはパスがこなかったことに腹を立てるでもなくただ無表情に、だがサイドを走るのはやめなかった。


左サイドえキッカからのパスを受けたオーラ。だがトラップした瞬間、フィアッカ・マルグリットとフィーナ・ファム・アーシュライトが挟み込む。
一瞬のスピードで抜くのが持ち味のオーラだったが走り出す前にその行く手を塞がれてはどうにもならない。オーラは中央に切れ込む動きを見せたがふたりの連携がそれを阻む。

ここで取られればすぐに終了の笛が吹かれるだろう

オーラは更に内側に動く動きを見せ、二人が阻もうと体を近づける。
その瞬間、オーラは左足アウトサイドでボールをこする。ゆったりとした軌道のボールがサイドライン際を抜けた。
そしてそこに飛び込む黒い影。



サンド・フィオーリがオーラを追い越してそのパスを受けたのだ。
そしてぐんぐんドリブルでサイドを進む。遂にセンターラインを超えた。



「サンドがっ!!」
「サンドがっ!!」
「サンドがっ!!」
「攻めてるっ!!」
「攻めてるっ!!」
「攻めてるっ!!」
「ありえねーっ!!」
「ありえねーっ!!」
「センターライン越えたっ!!」
「センターライン越えたっ!!」
「ありえねーっ!!」
「ありえねーっ!!」
「ありえねーっ!!」





「うっさいっ!お前らー!!!」
勝つためには、
主義主張だって、曲げるってばよー

が、そこは普段やらないことを無理しているだけにぎこちなさが半端ない状態(笑)
前方からミア・クレメンティス、そして後方からフィーナがサンドに向かうのを見てドリブルのスピードが一気に落ちる。
サンドは首をぐるりとまわしてから中央に向けてパスを出した。そこに走りこむのはジーナ・デル・サルト。
フィーナが急反転してジーナに向かう。
ジーナはパスを待ち構えながらすぐ近くの茜と視線を合わせる。茜はジーナを見据えながら小さく頷いた。




(信頼……いや、信用か?)
ジーナは未だ測りかねている。
ミステルの指示を
そして茜、代歩のことを

だが、この現状を打破できるアイデアを自分が持っていないこともまた事実
アギー?
いや、離れすぎている。既にバニア・カモネージとエステル・ヴァルディオラが張り付いていてどうしようもない。
ナスターシャと茜の距離は絶妙に離れている。これも茜が意図したものなのか?

サンドからのパスが近づいてくる。
後ろからフィーナの足音も聞こえてくる。数瞬後にはマークに付かれるだろう。


「……信じるしか、ないか……」
ジーナはそう小さく呟いた。そしてサンドからのパスをダイレクトで叩き、茜に放った。




この試合の最後を、全てを、


お前たちに捧げるっ!!








「ミドルがくるぞっ!!!」
カレン・アダミッチがそう叫んで茜とゴールの間、シュートコースに体をねじ込む。
代歩はそのコースに一瞬体を入れた後鋭い動作で反転、外に逃げる動きをする。

(またコースを作る動き……モリシタに全てを託すつもりかっ!!)

セレニーナ・ドミンゲスはその動きを確認し、代歩から視線を外してカレンと共にシュートコースを塞ぐ動きに切り替えた。





だからわからなかった。
代歩がもうひとつ中に切れ込んだことに































―おまたせ、代歩ちゃん―













―ああ、待たせすぎだぜ―







ワントラップした茜は丁寧に右足インサイドでグラウンダーのボールを撃った。
それは、DFラインの裏を完璧に取った代歩へのパスだった。








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【2012/06/13 11:49 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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