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【2017/04/24 00:49 】 |
ほい後始末中(笑) 祝勝会なところで


ローマのとある高級リストランテを借り切って行われている女子ASローマのリーグ優勝を祝う祝勝会。
壇上で高らかにスピーチをするGM初老の男性センシ氏を選手たちは冷ややかな目で見据えていたりしていた。







「……正直納得いきませんよ……」
スピーチの間、小さな声でそう呟いたのは正GKでありナイジェリア代表選手でもあるプレシャス・デーデ。
インテル戦では2点を獲られてはいるものの、後半はシャットアウトし勝利に大きく貢献した。

納得いかないこととは、やはり最終節前に解任された前監督Bucchiiのこと。
内臓疾患で戦列を離れていしまったとは言え、それまでチームを支えてスクデットを手繰り寄せた彼の手腕を認めていない選手はおらず、特にデーデはダイヤモンドカップでその存在を彼に認めてもらってのローマ入りを果たし、これまでずっとGKとしてゴールマウスを任されている。
だからこその発言なのだろう。だが隣に立つジーナ・デル・サルトが軽く肩を叩くとデーデは嘆息して軽く首を振った。

確かにBucchiiはチームをAに昇格、そしてそれから3年でスクデットを獲らせた輝かしい経歴と実力を併せ持ってはいるが、ここ1年ほどはフロントとの折り合いは決定的に悪かったという。
その顕著な例は森下茜の獲得だ。
ダービー相手のラツィオの選手であり、獲得時大きな怪我で戦列復帰もままならない状態だったアカネの獲得に関し、フロント陣は獲得に消極的であった。
それをLCCの神谷菜由と組んで半ば恫喝に近い説得で獲得に同意させ、GMがお墨付きで入団させた選手を代わりに放出、EU外枠の関係上デーデと同じナイジェリア人選手であるビウスイ・ケディアをBのチームにレンタル移籍とフロントの意向を無視したことを平然とやってのけた。ただケディア選手に関しては移籍したチームが水にあったのか、非常に活躍したということで本人は割に感謝しているらしい(笑)



GMセンシ氏の次に壇上に立ったのは最終節のみの臨時代行監督であるカタリーナ・センシ。
このカタリーナという箱入り娘はGMの一人娘であり、彼女の「一度ベンチで試合見てみた~い」という何気ない一言を溺愛するGMが強引に実現させた。
だから勿論ライセンスも持っていないしサッカーの知識すら無いと言っても過言ではない。
ただこの結果、首都ローマの女子チーム初のスクデットを果たした監督が極東の島国である日本人監督ではなくイタリア人監督であるという事実は記録的にイタリアという国を納得させる事になった。
他国から見れば歯切れの悪いことではあるが、カルチョの国であるイタリア人の尊厳を守ったという側面から見ればBucchiiの解任は致し方ない部分はあるのかもしれない。


「しょうがないさ、でも」
ジーナがぼそりと呟く。

「私も、デーデだって他のみんなだって、わかってるだろ。誰がスクデットを手繰り寄せたかなんてさ」

そう言われてはデーデも頷くしかない。
記録じゃなく、記憶に残ればいい。
来年からユニフォームの左胸に付けられるスクデットの証であるひし形のマーク、
それを見るたびに思い出せるはずだ。





そしてオーナーの号令で乾杯。祝勝会の本番が始まった。
ちなみにイタリア語で「乾杯」は「チンチン」というらしく、茜なんかはそれに慣れるのに随分時間がかかったらしい(笑)

ヨーロッパではよく見られる立食式のパーティであり、広い会場の脇には小さなクラシック音楽隊が生で演奏をしていたりと昔の貴族が行うパーティを連想させた。


「ん?代歩ちゃんなにしてるの?」
きょろきょろとテーブルの間を動き回っている代歩を茜が声をかけた。代歩は茜に気がつくと周囲を見渡すのをやめてシャンパングラスを右手に持ったまま茜の隣に行った。

「いや、こういう場に必ずあらわれそうなあいつらがいないなって思って」
「いやー流石にそれは無理じゃないかな」

茜がくすくす笑い、つられて代歩も笑顔になる。そしてシャンパングラス軽く合わせてから中のワインを飲み干した。

「いや、何かお堅い雰囲気だな」
「だね、代歩ちゃんお得意の腹踊りもできそうにないかも(笑)」
「だなー、やっぱ飲み会なら座敷だよな」
「わかるー(笑) ビールに枝豆お新香とから揚げがないと駄目だよねー」
「あ、そういえばから揚げにレモンかけるの反則だからな」
「えー、かけたほうがおいしくない?」
「アタシはそのまんま派なの。茜は勝手にレモンかけちゃうんだからなー」
「ぶー、おいしいのに」

給仕が近寄ってきて空いたグラスにワインを並々と注ぐ。また代歩と茜はグラスを合わせて飲み干した。
と、壇上に酔って顔を赤くしたキャプテンジーナ・デル・サルトが上がってマイクを持った。持った手の小指が立っている辺りが微妙に似合わない(笑)


「あーあーてすてす。キャプテンのジーナだ。今日は重大な発表がある」
それを見た代歩、ほろ酔いだったが一瞬で酔いがさめて体を硬くした。既にほろ酔いの茜はジーナに向かって拍手をしている。


「えー、プライベートなことなんだが……」

壇上の真下でパウラ・ファウネルが厳しい表情で見据えている。代歩の頭の中にはあの時の光景がまざまざと浮かび上がっている。



「このたび、私ジーナは結婚することになりましたっ!!」



壇上下から大きな唸り声とそのあと大きな拍手の渦、嬌声が混じりあい大騒ぎに。
ジーナは照れたように酔った顔を更に赤らめてから笑顔を見せた。

「すごいすごいージーナさん結婚するんだーいいないいなー」
「あ、ああそうだな……」
興奮気味に拍手をする茜の隣で気まずい雰囲気の代歩。そのあとに言うであろう言葉―「引退」―を想像して更に体が固まっていく。


「えっとな、そんでまあ、主人がすぐにでも子供が欲しいなんて言うんだけどな……」


そこまでジーナが言うと会場がしんと静まった。
そこまで言えばわかる。
女性選手にとって、出産が殆ど「引退」とイコールであるということに。


「でもな……」




「初めてのスクデット、この気持ちよさを知っちまったら無理だよな」



え?
え?


予想外の言葉に代歩は口をぽかんと開ける。みれば壇上のすぐ下で厳しい表情をしていたパオラも同じような顔をしている。



「主人にはしばらく子供を諦めてもらった。本当ならもう引退するつもりだったんだけど……」






「もうしばらく、よろしく頼むぜっ!!」


わっと更に大きな歓声と拍手の渦。ジーナはその歓声に右手を大きく挙げて応えていた。






「は、あはははっ」
代歩は乾いた声で笑った。

なんだよそれ?
いやいやちょっと待てよ

確かにジーナの引退の覚悟が代歩にとって大きな重圧になっていたし、それが力にもなっていたのだろう。
それを簡単に反故にされるのは何か嬉しいんやら納得がいかないんやら(笑)

ぽんぽんと肩を叩かれた代歩。そちらを向くと目を輝かした茜の顔がすぐそばに迫っていた。


「ねえねえ代歩ちゃん。私も結婚したくなってきちゃった。女の子からプロポーズって変かな?どうかな?」
「いやいやチョイ待て茜。お前感化されすぎだろ。それにお前の彼氏ってまだ無職だろ?」
「関係ないよ代歩ちゃん。勇太さんは私が養うしー」
「いやいやいやいやこういうのは酔っ払って決めるべきじゃ……」
「決めたよ代歩ちゃん。すぐプロポーズする!そんで結婚式はやっぱハワイがいいよねー」
「いやいや待て待て待て待て」


結局心配の種がまたひとつ増えた代歩であった(笑)




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【2012/06/24 20:06 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0)
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