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【2017/07/25 09:33 】 |
ある夏の日のこと


「ハイ終了」
多少関西訛りのある女性の声がして数人の生徒が持っていたシャープペンシルを机の上に置いた。
青と白で構成されたセーラー服を着た小麦色の肌、茶色い長い髪の少女、キルシェ・アーカイラムは長い息を吐くと答案用紙を裏返した。




「まったく……アンタは成績は悪くないのにこうやって補習受けとるのがどうしてかわかってるんやろ?」
答案用紙を集め、教室に残っていたキルシェに担任である黒井ななこは詰問していた。

「すまない。キルシェも色々努力はしているんだが」
全く表情を変えないままそう返すキルシェに諦観の意を示すように彼女は首を振る。
「まあ、あんたも家庭の事情があるのはわかるけど、2学期はもう少し授業出ような」
「うむ、努力する」

やはり全く表情を変えずに答えるキルシェを見て、ななこは今度こそ長いため息を吐いた。


1学期期末テストも終わって今は試験休み。
キルシェは出席日数の関係で補習を受けに来ていたのだ。
グラウンドでは運動部が暑い日差しの中活動を続けている。だが校舎内の廊下には殆ど生徒の姿は見えず、キルシェはその真ん中をひとり歩いている。

正門まで差し掛かったとき、キルシェは不意に顔を上げて小走りになる。そこに見知った人影を発見したからだ。
小さな、そして笑顔。

「ゆたか」
クラスメイトであり、1年のときからのキルシェの友人である小早川ゆたかが私服でそこに待っていた。
そして門の柱の影からゆたかより一回り大きな影。
「みなみ」
同じくクラスメイトであり友人の岩崎みなみも待っていた。


「えへへ、キーちゃんに会いたくなっちゃって」
ゆたかはキルシェに向かって笑顔を見せ、キルシェも僅かに唇の端をあげて笑顔で応えた。












「海?」
「そう、終業式終わったらみんなで」
帰り道、ゆたか、みなみ、そしてキルシェの3人は並んで駅までの道を歩いている。
普段はバス通学なのだが試験休みでバスの本数が激減しており、みなみの提案もあって徒歩を選択した。
通学路、すぐ東には現在建設中の巨大タワービルがそびえたっている。
アメリカの総合セキュリティ企業であるバスター社がメインスポンサーの巨大ビルは東京にあるスカイツリーに比べるとその高さは低いが、高さ362メートルといわゆるビルとしては世界の中でもトップクラスの高さを誇る予定である。
キルシェはその建設中のビルを横目で見ながらゆたかの話を聞いている。

「お姉ちゃんとみゆきさんが車出してくれてね、旅館の予約も完了したんだって」
「ふむ」
キルシェは少し考える、それを見たみなみも口を開いた。
「仕事でなければ来て欲しいって、ゆたかも私もそう思ってる……」

確かその辺の日は菜由も日本に帰ってきてるはずだし、テッサにお願いすればガードの必要もないだろう。
なにより、最近はあまり学校にも行けてなくゆたかたちと遊ぶことも少なくなっていた。

「うん、行こう、海」
「やった、ありがとキーちゃん」

嬉しそうにゆたかが抱きついてくる。キルシェはそれを受け止めながら自然と顔が緩んでいくのを感じていた。
陵桜学園高校に入学して既に2年。キルシェは随分と感情を表に出すのが上手になっている。
それもゆたかやみなみという気の置けない友人関係を作ることが出来たからだ。

それはきっと、キルシェの「人間」としての成長なのだろう。
そしてそれを受け入れることが出来るのも、彼女の大きな成長の証だ。



「じゃ、早速水着見に行こう、キーちゃん」
「そうね、いきましょう」

みなみ、そしてゆたかに手を引かれてキルシェたちは駆け出した。
暑い日差しを受けながら―

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【2012/06/25 06:41 】 | Killshe's story | 有り難いご意見(0)
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