忍者ブログ
  • 2017.09
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2017.11
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2017/10/23 13:30 】 |
【鋼鉄の巨人】トゥアハー・デ・ダナン


朝日が海面を薄く照らす。
ヘリはゆっくりと降下し、洋上に浮かぶ巨大としか言えない鉄の塊に着陸する。
ヘリから最初に降りたテッサが子供のように皆を手招きする。
 
「ようこそ、これが我らミスリスの誇る強襲揚陸用潜水艦、『トゥアハー・デ・ダナン』です。どうです、可愛いでしょ?」
「可愛いってねえ…」
 
その巨大なスケールに圧倒されながらもレイがうめくように呟く。
 
「全長130メートル、総重量20000トンの世界最大規模の潜水艦ですよ」
テッサは無邪気な子供のような顔をした。







テッサを先頭に艦の乗降口に向かうと、先にはリチャード・マデューカスを筆頭とした兵士たちが待ち構える。
 
「お帰りなさいませ、大佐殿」
マデューカスの言葉で兵士たちが一斉に敬礼。テッサはそれを見て不機嫌そうに肩をすくめる。
 
「ご苦労様です、マデューカスさん。でも出迎えは不要だと言った筈でしょ?」
「は、しかしキルシェさまやお客人も来られるというので…」
「私が不要だと言ったのですよ。そんな暇があるなら出航準備の再確認をしなさい」
「はっ、申し訳ありません」
 
後ろのレイや花桜梨が唖然とする中、兵士たちはばらばらと艦内に戻っていく。そして最後に残ったのは灰色の男、アンドレイ・カリーニンだった。
 
「お疲れさまです、大佐殿」
「ご苦労様、カリーニンさん。それでは後はよろしくお願いします」
「はい」
 
テッサとカリーニンはそういうやり取りをかわし、テッサが後ろのキルシェたちに振り返った。
 
「それでは私は出航準備がありますのでこれで。あとはカリーニンさんが案内してくれます。出航後、今回の作戦のブリーフィングをします」
「それでは皆さん、こちらへ」
 
カリーニンの案内でキルシェたちは艦内へ。テッサは甲板上で女性の兵士と何か話をしていた。
 
 
 
 
艦内通路は思っていたよりも広かった。
幅は1メートル50センチはあろうか。通常の潜水艦通路は狭く、人一人がやっと通れるくらいの幅であることを考えれば望外の広さである。
 
「向こうのメイン通路はここよりも広いです。緊急の事態でも迅速行動が出来るようにした大佐殿の配慮です」
「テスタロッサさんの?それじゃあこれは彼女が…」
「はい、この潜水艦は大佐殿が設計しました。この艦が運航をはじめて既に2年と言うところです」
 
レイは驚きを隠せなかった。
カリーニンの話が事実だとすれば、今18歳の彼女がこれを作ったのは2年前、16歳の時だという事。いや、設計段階から彼女が関わっていたとすれば11~12歳の時からと言う事だ。
これはただ頭がいいとか、天才だとかそういうレベルの問題ではない。
まだ少女のみそらで大佐という地位に座り、自分より遥かに年上の士官を動かし、屈強な傭兵を束ねる。
たった18年の中で彼女はどれほどの経験をしてきたのであろうか、そしてどのような運命を受け入れてきたのだろうか。
それを考えた時、レイは少しばかり身震いを起こした。
 
 
 
 
 
艦内中心部、発令所。
この巨大潜水艦の心臓部となる場所。ここから艦の全てをコントロールし、制御を行う。
 
「第1バルブから第12バルブまで全て正常、問題なし!」
「各給水タンクも異常なし!」
「超電導パラジウムモーター、可変翼スクリュー全て異常なし!」
「ECSマスト、各種センサー全て正常!」
 
テッサは発令所中央の艦長席に座り、スタッフの報告に耳を傾けている。隣で直立不動の姿勢をとるリチャード・マデューカスがテッサに体を向け、真摯な表情を見せた。
 
「全て正常との報告。【ダーナ】でのチェックも全て正常です、艦長」
「結構、それでは出航します」
艦長席のテッサが凛とした声で言う。すると隣のマデューカスが頷いて前を向く。
 
「イエス、マム、05時20分、トゥアハー・デ・ダナン出航っ!!」
 
 
黒い船体が低い唸り声をあげ、波飛沫を撒き散らしながら海中に沈んでいった。
 
 
 
「それでは、こちらで暫くお待ちを。出来ましたら大声を出さぬようにしてください」
カリーニンが案内した食堂でキルシェ、花桜梨、レイは残される。
 
「でも、どうして大声を出すなと・・・」
レイの問いにキルシェが答える。
「潜水艦だからだ。水中では意外に音が遠くまで響く。現在の原水にしても音を感知するレーダーは未だ現役で使われているんだ」
部屋の隅に光る小さな信号機のようなものをキルシェは指差した。その信号機は赤いランプを点滅させている。
 
「・・・恐らく潜行中だ。海中に沈みながら各種レーダーで索敵、それまでは息を潜めておかないと逆に発見される」
 


トゥアハー・デ・ダナンがぐんぐんと深海へ潜り込んでいる。多少の耳鳴りが起こるが殆ど揺れを感じることも無い。
この艦の設計時のバランスと最新鋭の機器がこの快適さを与えてくれているのか。花桜梨はそう考えながらふと顔を上げる
正面のキルシェはさっきまで話をしているかと思ったら、寝ている。隣のレイも驚いたように苦笑していた。
花桜梨もクスリと笑って自分も目を閉じた。
 
そう、寝るのは体力回復、温存に一番効果のある方法だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
PR
【2012/07/20 11:42 】 | Killshe's story | 有り難いご意見(0)
<<【鋼鉄の巨人】 ウルズ13 | ホーム | 【鋼鉄の巨人】意外な援者>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿














<<前ページ | ホーム | 次ページ>>