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【2017/11/23 06:47 】 |
【鋼鉄の巨人】 遠目の再会



赤道に程近いこの島は熱帯気候であり、深夜だというのに湿っぽくじっとりと熱がある。
島の殆どを覆うジャングル。絡み付いた木々、蔦や葉を音を立てずに掻き分けながらキルシェは前進する。




程なくキルシェの左耳に取りつけられた無線機から声が聞こえる。

『ウルズ13、島西岸に到着』
『コードネーム、チェリー。島東岸に到着』

チェリーとは花桜梨のことだ。
作戦開始前にテッサが花桜梨につけたコードネームであり、決まった瞬間花桜梨の表情が苦々しく変わったのはよく覚えている。
だがキルシェは何故チェリーというコードネームを嫌がるのかまでは理解できていなかった。


『了解しました。それでは各員』
テッサの声が無線機から聞こえてくる。


『今回の任務は潜入任務です。今までのような掃討作戦などとは趣が違うことはわかっていると思いますがもう一度再確認です』

藪の影にまぎれるように前進。左右前後、上下に渡り警戒を続けながら時間をかけてゆっくりと前進。
前方の木々の隙間からからサーチライトの明かりが漏れてくる。基地施設はもう近い。キルシェは中腰の前進をやめて匍匐姿勢に。地面を擦る音も最小限にしながら前進。


『戦いに勝つこと、相手を制圧することが目的ではありません。あなたたちは幽霊のように施設に潜入し、証拠を何一つ残さずに任務を達成するのです』


15分ほど匍匐姿勢のまま前進しただろうか。不意に木々が無くなり、開けた場所に出る。
キルシェは夜の闇に照らされるサルベージ島核廃棄施設を見渡せる場所まで到達した。

「こちらヴァルキリー、施設前に到着した。南正門の先には大きなヘリポート……」
無線機に向かって報告しながらソリトンレーダーを起動、望遠モードで周囲を探る。ヘリポートの中心に止まる黒々とした大きなヘリを見てキルシェは眉を寄せた。

「ハインド…ロシアの戦闘ヘリだ」

そして、そのヘリに向かうふたつの人影を確認。それを見たキルシェは大きく息を吸い込んだ。


「何故、ここにレナードと、ベネッサが……」













ベネッサ・ルイスは周囲を見渡し、野戦服に身を包んだトライデントの兵士たちがこちらをいぶかしむ視線を投げているのを感じて肩をすくめた。
隣を歩くレナード・テスタロッサは恐らくその視線を感じているのだろうが、相変わらず飄々とした態度を崩さない。堪らなくなったベネッサはレナードに顔を向けて口を開いた。

「おいレナード、最終チェックは終わってないのに帰っていいのか?」
レナードはベネッサの言葉に顔を向けるといつものような笑顔を向ける。
「ああ、構わないさ。元々これはトライデントの作戦であり、我々『評議会』は出資も援助もしていない」

確かにその通りではあるが、しかしこの演習自体は「評議会」へ向けてのアピールであり、それを考えればレナードは最後まで見守る義務があるのではないか?
ベネッサはそう考えてもいた。

「最終的な成功データで我々は判断すればいいよ。最後まで付き合う道理も無い」
レナードはベネッサの疑問を見透かしたようにそう言葉を続ける。


「それに、多少の置き土産は残しているじゃないか?」
レナードはそう言って、また笑顔を見せた。





『レナード……レナード・テスタロッサですか?』
無線機から聞こえるテッサの声に多少の動揺が窺える。キルシェはレーダーの暗号リンクを開放して映像データを送った。

「間違いない。先日イタリアで会ったばかりだ。間違えるはずが無い」
キルシェはそう答えた。


程なくダナンのネットワークがキルシェからの映像データを受け取って指令本部のメインパネルに映像を写す。そこには確かにアッシュブロンドの長髪と黒ずくめのコートを羽織る青年の姿と、真っ白なストレートヘアの少女の姿があった。
それを後ろの長椅子で見た菜由が僅かに腰を浮かせる。
艦長席のテッサが驚きの表情を浮かべる菜由に顔を向ける。菜由はその視線に気がつくと、大きく頷いた。


「どういうことですか?まさか『評議会』もこの演習に関わっていると?」
「わかりませんが、彼がここにいるということはその可能性も充分考えられます」
テッサの疑問に傍らのアンドレイ・カリーニンが冷静な口調で答える。
テッサはごほんとひとつ咳払いをすると、無線マイクに顔を近づける。

『とにかくヴァルキリー、そのまま監視を続けて』
「了解」

やはりカリーニンと同様、抑揚の無い無表情なキルシェの声がダナンの船内にこだました。



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【2012/08/12 13:02 】 | Killshe's story | 有り難いご意見(0)
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