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【2017/04/24 00:54 】 |
第18節 Fiorentina VS AS Roma 2

ドイツでの合宿が終わり、ローマはシーズンインに向けて本格的に動き出す。
全体練習も紅白戦が主なものになり、カミュと代歩の取っ組み合いも毎日の日課のようになり恵美の雷の数も格段に増えていた。そして森下茜はというと…


「よ、茜。ご飯食べにいかねーか?」
「ダメダメ、アカネはアタシとご飯いくんだよー」
「んだとコラ」
「やんのかコラ」


例によって例に漏れずにカミュと代歩は睨み合いを始める。だが茜は苦笑し、両手を合わせて拝むような格好になった。
「ごめんねふたりとも。これからカントクと補習なの」


「補習?」
「ホシュウ??」


茜はローマに合流してから監督-ミステルの事を日本読みの「カントク」と呼んでいる。
SCM時代からそう呼んでいたということもあるのだろうが、茜にとっての親愛の情のあらわれなのかもしれなかった。

「おう、お前らも一緒に授業うけるかー?」
どこから出てきたのか、Bucchiiが茜の隣に立っていた。カミュと代歩は同時に首を振っていた。

「ほんとごめんねーまた次の機会にね」
茜とBucchiiが通路の奥に消えた後もふたりはじっとその先を見据えていた。

「補習かー」
「ホシュウって何だ?だがそれはそれとして…」
「気になるな」
「うん、気になるな」

ふたりは頷きあい、揃って抜き足差し足、ふたりの後をついていった。その動きは周りも驚くほど息が合っていた。
スタジアムに選手たちが姿をあらわすと、それまでざわめきのようだった歓声が唸りをあげていく。
巨大なフラッグが振り回され、客席のあちらこちらから発炎筒の煙と炎が吹き上がる。
両手チームメイトが握手を交わし、記念撮影をする。そしてピッチに選手たちが散らばっていく。

「やあ、久しぶりだアカネ・モリシタ」
レイズ・フォーチュンはポジションに向かおうとする茜を呼び止め、改めて右手を差し出した。茜はそれを拒む理由もなく、笑顔を浮かべてその手を握った。

「どうぞよろしくレイズさん」
「悪いが今日の私はキミに会えて少々高揚しているようだ」
なるほど、確かに彼女の顔に少しばかり赤みがさしているような気もする。そんな事を考えていると握り合った手に急に力が入った。

「だから遠慮なく勝たせてもらうよ。あのカミカゼもファンタジスタも全部私の糸に絡めさせてもらう」

「蜘蛛の糸」か。茜はそう思い立つ。
レイズ・フォーチュン-いやフィオレンティーナの得意とするディフェンスシステム。
発動されれば最後、その無数に伸びる蜘蛛の糸にFWたちは知らないうちに絡めとられていくという。
だがここで気圧されてはいけない。茜は同じように手を握り返し、ニコリと笑った。

「それはこちらのセリフです。ここを勝ってスクデット争いに名乗りをあげますよ」
「素晴らしい答えだ。だからキミは魅力的なんだ」

レイズは甘い言葉を最後にささやき、握った手をほどいた。












代歩とカミュ、ふたりが部屋のドアの隙間から覗き見たのはとんでもない光景だった。
監督であるBucchiiが講師のようにホワイトボードの前に立ち、茜が正面に座って必死にノートにペンを走らせている。ホワイトボードにはフォーメーションをあらわす2色のマグネットが貼り付けられており、それがBucchiiの手によって縦横無尽に動く。よく見ると傍らに小さなテレビが置いてあり、そこでもサッカーの試合が映し出されている。


(な、なんだよこれはサダコー)
(ま、まさしくこれは補習だよ・・・)

代歩は学生時代、何度も受けた補習を思い出して身震いした。カミュは補習というものが理解は出来なかったが代歩の様子を見て触れてはいけないものだと認識した。


そして、この補習はシーズン開幕前日まで行われていたのだった。










キックオフから最初の10分はホームの歓声に後押しされたフィオレンティーナが押す展開。だがローマはキッカ、パオラのCBの奮闘とジーナ、茜がバイタルエリアを封じたDFで決定的なチャンスを作らせないようにしていた。
フィオレンティーナのFWであるフェラーリはついと自陣に目を向ける。いつもなら積極的に攻撃参加してくるはずのレイズはしっかりとDFラインを形成したままだった。

ローマといえば2トップの1角の清水はフィオレンティーナのDFラインに張り付いており、オニールとの駆け引きに神経をすり減らしている。
そしてカミュ・ファルコーニはというと・・・


ふらふらしていた(笑)


試合開始後、ローマが守備に忙殺されている間自陣の左右サイドや敵陣のオフサイドエリアをうろうろと歩き回る。
だがそれを見たキャプテンであるジーナはほくそ笑んだ。

(カミュは今日絶好調だ)



右サイドに切れ込んだフィオレンティーナのワントップFWアンフローナ・フェラーリからボールを奪った茜は振り向きざまに逆サイドに大きく蹴り出した。前がかりになっていたフィオレンティーナの中盤はスペースを空けてしまっており、その広大なスペースに走り込むのが左の俊足、オーラ・サネッティ。


(いいか、つるべの動きはウチでは徹底している。特にサネッティのあがりのスピードを熟知しろ)


オーラは利き足である左足を大きく上げて茜からのロングパスをトラップ。すぐさまトップスピードでサイドをえぐる。ローマの攻撃のギアがあがった。
茜はボールを蹴りだすとすぐさま前線に向かって走る。ジーナはそれを見てDFラインの少し前に陣取る。

(特にジーナと攻守の入れ替えをしないといけない。ジーナは守備に強みを見せるタイプだから、出来る限り前線に出さないようにお前が動く必要がある)


サネッティのクロスはレイズがクリア。大きく前に出たボールを受けたのは前線に向かった茜だった。トラップする瞬間にルックアップ、周囲を見回したときに手を上げる姿を確認、そこにボールを出した。

ペナルティ・アークで受けたのはカミュ・ファルコーニ。
サネッティの上がりで一気にDFラインが後ろに下がり、バイタルに構えるカミュにスペースが出来た。エリア手前でボールを受けたカミュは鋭く反転。すると目の前にレイズ・フォーチュンが現れ、ボールに向かってスライディングを敢行していた。


(絵を描き終わったカミュにいい状態で繋げる事を考えろ。カミュがやりたい事をやりやすいように、カミュの持つ無限の引き出しを開放させてやるんだ)


カミュは左足の甲を90度に固め、そこにボールを乗せた。そしてスライディングを横にかわすのではなく、真後ろに跳ねてそれをかわした。
そして跳ねた最中に左足を起用に動かしてつま先でボールを弾く。緩い弾道がレイズの眼前を通過する。
一瞬タイミングを外れたDFのオニールは混乱していた。だが代歩はそのタイミングが完全にわかってたかのように蹴りだされた瞬間に反転。ボールを完璧なタイミングで受けてワントラップ、シュート。

前半13分。アウェーであるローマが先制した




「過去2年分のすべての試合をあいつに見せて、すべての局面で誰がどう動くか、どう動かしたかを覚えさせたんだよ」
Bucchiiはこともなげにそう言う。聞いていた橘は目を見開いていた。

「そ、それじゃ森下さんは・・・」
「すべての局面をノートに書いたな。多分30冊くらいになってるんじゃないか?」

連携の熟成が遅れていた分を戦術理解度で埋めるという発想なのか?
すべての局面を確認させて更にそこに自分をはめ込む作業をする。言うだけなら簡単だがそこに至るまでには膨大な量の資料を研鑽しなければいけないはずだ。
それをすべてこなしたの?あの子は・・・

恵美は力なく笑った。
「確かに、ご褒美ですね」
「だろ?」

ピッチでは得点を決めた代歩がチームメイトたちにもみくちゃにされており、そこには当然という感じで茜も混じっている。


「嬉しい誤算だよ。これで俺の目指す『キングダム・サッカー』に近づいてきたぜ」
Bucchiiがそう呟いたのを恵美は聞き逃さなかった
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【2011/06/05 00:56 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(1)
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