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【2017/08/20 03:37 】 |
1回戦 AS Roma vs Valencia CF 2nd Leg 8



ヴァレンシア4人目のアルー・モハメドがゴール右隅に決める。
反応していたプレシャス・デーデが地面に拳を叩きつけて悔しがっている。

3-3の同点。
PK戦はついに5人目、最後のキッカーに委ねられた。






「さて、そんじゃ私だねっ!」
茜はまるで遠足に行くかのような口調でそう言った。

「おいおい、大丈夫なのか?」
キッカ・コスタクルタがそんな様子の茜に向かって言った。ちなみにキッカは一応9番目のエントリーだ。
「だいじょーぶだよ、アカネなら」
「そうそう」
カミュと代歩がキッカに返す。そういう時は非常に息の合う二人だ(笑)

茜はローマイレブンたちの列の端に立つと右手の掌を上げる。それを見たジーナが同じように手を広げてあげる。
代歩が、カミュが、パオラが、デーデを除く全員が手を広げた。
茜は手を上げたまま走る。そしてジーナと手を合わせ、次の代歩、カミュと次々と。

パパパパパパパンッ!


「じゃ、行ってくるねー」
茜は手を振ってペナルティ・エリアに向かった。



その途中、エリア脇で座るデーデに視線を送る。


(大丈夫、決めるよ)
(…頼む…)



エリアに転がるボールを拾い上げ、セット。そしてゴールを見る。
ゴールマウスにはイザベル・ガルボ。カミュのシュートだけは反応できなかったが他の3人のシュートにはきっちり反応。その技量の高さが伺える。

ボールから5歩ほど後ろに下がる。
歓声が鳴り止む。しんとした場内、茜の息遣いが聞こえてくるかのような静寂。



「ここが森下の真骨頂だ。自らに課したプレッシャー、それを力に出来るか否か」
Bucchiiがそう呟く・


笛が鳴った。茜はその場で軽く跳躍、そして走った。

イザベルはやはり軸足の向きを見ていくことを決めた。森下茜という選手の性格的に小細工をするタイプではない。素直に軸足の向きにボールが来る。
イザベルの経験に裏打ちされた直感だ。そしてそれは当たった。


軸足は右、つまり左。

右足が振り下ろされる。
コースは左に、イザベルも同時に左に跳んだ。

だが、


だが、





(左上隅っ!!だって?)
ボールは左上隅、ポストとバーの角を掠めてネットに突き刺さる。どんなGKでも取ることのほぼ不可能な位置だが、そこを狙うのはリスクが高すぎる選択。少しでもずれればポスト若しくはバーに弾かれる。ふかして枠を外す。そんな位置だ。



「また予想を超えたな」
Bucchiiは呆れたように呟いた。


アイツの心臓はダイヤモンドで出来てるのか??




この日一番の大歓声が響き渡った。茜は右手を大きく上げて歓声に応える。










そしてヴァレンシア5人目のキッカー、佐野倉恵壬が準備を始めた。
ローマGKプレシャス・デーデは汗を拭いていたタオルをその場に投げ捨て、立ち上がった。
みんながここまでやってくれた。あとは私だ

ゴールに向かおうとした時、不意に茜に呼び止められた。茜は笑顔で駆け寄ると耳を指差した。
素直に右耳を出すデーデ。茜はその耳に向かってぼそぼそと呟いた。
デーデはボールをセットしている佐野倉を見据えてから、強く頷いた。






(何だろう、今のは…)
佐野倉は平静を装いながらも今眼前で繰り広げられた一連の出来事について考えた。

(確かに森下さんは代表のときの練習とかで私のPKも沢山見てる…だからって)
佐野倉は軽く助走を取る、そして笛が鳴った。
少し思い返す。確かに代表の頃、右隅に撃つ回数が多かった記憶がある。それを指摘しているとすればすれば…

(左に撃つ)

助走して右足を振り上げた。そしてデーデを見た瞬間戦慄した。
体が左に向かって傾いているように見えた。読まれてるっ??

佐野倉は左に撃つのを中断、右に切り替えた。
少し緩めになったが右隅ぎりぎりのグラウンダーシュート。だがデーデが反応している。
デーデは確かに左に行こうと思っていたが、寸前軸足の向きが不安定になったのを見て逆に切り替えていた。

デーデが長い腕を精一杯伸ばす。だがボールは僅かの差でその腕をすり抜けた。
デーデは顔をしかめた。

だが、後方で金属の音が聞こえた。
ポストに弾かれたボールの反響音、ボールは転々とペナルティ・エリアの外に転がっていった。


主審の試合終了を告げる長い笛。ローマの選手たちは全員、控えの選手も含めて全員が一気にデーデの元に駆け寄り、次々とダイブ。あっという間に赤い小山ができた。

PK戦は4-3でローマが逃げ切り、準決勝進出を決めたのだ。



「お疲れ様、楽しかったよ」
呆然としている佐野倉に茜は歩み寄り、右手を出した。佐野倉は我にかえってから涙を流していることに気がついた。慌てて涙をぬぐうと右手を出して茜の手を握った。


「あの、ひとつだけ聞かせて」
「ん?何?」
「PK戦の最後、あなたはGKに何て言ったの?」

敗因はあそこだ。
あれを見てしまったから佐野倉は色々考えなくてはいけなくなっていた。それがあのシュート失敗の原因だろう。
茜は照れくさそうに笑って後頭部に手をやった。

「え、えっとね、『頑張ってね』って」
「…それだけ?」
「うん、それだけだよ」

今度は茜が不思議そうな顔をした。
何てこった、完敗だ。
心理戦の駆け引きかと思ってしまった私の思い込みだったのか。



「次は負けないわ」
「うん、私も負けないよ」
そう言いあってから二人は手を離した。茜は佐野倉に手を振って歓喜で溢れかえる仲間の元に戻っていった。
また涙が出てきた。もう一度右手で涙をぬぐう。
アルーが佐野倉の肩を抱いた。
佐野倉は頷いた。





チャンピオンズリーグ1回戦 ASローマ対バレンシア
1-3 3-1 PK4-3
ASローマ、準決勝進出
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【2011/07/17 14:02 】 | Champions League | 有り難いご意見(2) | トラックバック(0)
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有り難いご意見
感想書きに来ました
ちわ、捨井です。ケータイの電池が切れたため感想はこの時間になっています(笑)
箇条書きで。

・何となくローマ敗退のフラグが立っていたような気がしていた
いや、森下ハットのあたりで「ははあ、こりゃヴァレンシア2点取って敗退のパターンだな!」とか思ってましたが気のせいだったようです。ていうか佐野倉さんの見せ場が多くてカッコいい。ラストの深読みの辺りはいかにも生真面目な彼女らしいエピソードで、それを結果的にはぐらかした茜も「ああ、こういうキャラだよな」と納得できるものでした。

・PK戦が多彩だったなあ
PK戦、という予想は全くしていなかったんですが、皆特徴がそれっぽくてよかった。一人目、しかも精神的支柱のジーナが外すのは「あー、アメリカ大会のバレージだなー」とか思いながら見てました…ああっいかんっ!バッジォのことを思い出してしまうっ!!
何かやってくるだろうと思っていたカミュはラボーナだった(笑)ローマだしファンタジスタだしで「クッキアイオ」来るかな?とか予想してましたが、カミュもこの後地元紙に叩かれたりしたんだろうか(笑)

・実はクールビューティだったアギーさん
今回一番の収穫は個人的にこの人です(笑)

よくまとまっていて、「27」までただダラダラ続けながらまだ終わりそうな気配のないどこぞの誰かに見習って貰いたい(笑)と思える出来でした。

2回戦(準々決勝かな?)楽しみにしています。それでは。

 
【2011/07/17 16:55】| URL | 捨井武 #990d2ef3f6 [ 編集 ]


無題
こんばんわ
感想ありがとでした。たまにコメント貰わないと寂しくて死んじゃう感じなので適当にお願いします(笑)
ヴァレンシアvsローマは書く予定がまるでなかったのですが書くならこんな感じだろうなと。当然このブログは「森下茜」ブログなのでローマの勝利は揺るぎなかったのですが(笑)
てか、一度PK戦というのを書いてみたかったというのがありまして、駆け引きや精神戦みたいな部分が色濃く出ればいいなと。バッジオのアメリカW杯PKは伝説なので恐れ多くてコメント不可です。
実はローマの試合については書きたい試合というのがあと2~3試合しかなかったりするのでどうやって膨らませようか…あ、チャンピオンズリーグ含まれてないとかね(笑)

次回からは日本に戻ってまどマギトリオ復活、そしてアメリカからついにあの人が…
みたいな展開です

個人的には清水代歩があまり目立たなくなったのがねえ、むつかしいや彼女を書くのは。
ではまたですー
【2011/07/17 19:12】| | Bucchii #4f08fb5f61 [ 編集 ]


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