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【2017/05/23 02:22 】 |
第29節 AC Miran vs AS Roma 3


代歩が最初に気が付いた僅かな綻び。
それは時間を追うごとに大きく、その穴を広げていった。






ミランのシステムは4-4-2。中盤はボックスタイプであり、両サイドOMFがワイドに展開し、ツートップやバイタルの裏からDMFが果敢に前に出て得点を狙う。勿論両OMFがトップを追い越しての得点も多く、そのパターンは無限といっても差し支えない。
対するローマも4-4-2だがこちらはCMF2名とSMF2名の横に並ぶ形の中盤構成。中央からの突破に弱みを見せる布陣ではあるが横のライン、縦のラインの関係性はボックスタイプの中盤よりも優れている。つまりプレスのかけやすい布陣であり、そして各々のフォローの関係が明確である。

だが綻びはそのフォローから生まれていた。


左のOMFであるコーチャがまずその事に気が付いた。
左サイドのコルネリア・アウリシッキオをライン際に走らせ、自身が中央に絞り込む。抜群のタイミングでサラスからのパスを受けて前を向いたが茜が立ちふさがる。が、コーチャは一瞬の躊躇もなく抜きにかかる。


(やっぱりだっ!)


切れ込みながらコーチャはゴール前に速いパスを送る。最前線にマレク・ファンバステンが受けダイレクトで弾いて逆サイドから切れ込むサラスの足元に。サラスはこれまたダイレクトでミドルシュートを放つがGKのデーデが弾き出した。

コーナーキックはパオラ・ファウネルが大きくクリアし、ローマ前線の代歩がそれを受けて前を向く。両サイドMFと茜が一気に前線に走る。
攻撃の途切れたミランのOMFのコーチャは守備を周りに任せてやはり前線に残るサラスの元に。


「気が付いてるな」
「ああ」

コーチャの言葉にサラスは頷いた。

「何人か、スタミナ切れを起こしてる。プレスが遅くなってる」





リーグ戦を戦いながら、平日のチャンピオンズリーグ。ローマの選手たちにはこのタイトなスケジュールは初めてのことだろう。
予選では感じなかったトーナメントといういわゆる1発勝負の緊張感は心身ともに疲弊させるに十分な経験。しかもこの試合の3日前に120分という長い時間フルに戦い抜いた選手たちに疲労が溜まっていないはずは無い。
リーグ戦でも後半戦から順位を上げ続けているという事態はプレッシャーとなって選手たちの精神を痛めつけているのは想像に難くない。
ミランやインテルなど強豪と呼ばれるクラブは分厚い選手層、そして培ってきた経験がそのタイトなスケジュールと精神的なプレッシャーを和らげている。
だが今季躍進しているローマにはその経験が、そして負担を和らげる選手層が圧倒的に足りない。



「…まずいな」
ベンチでBucchiiは呟いた。
明らかに動きが悪くなっている。特に動きが落ちているのが左サイドバックのサンド、それに左SMFのオーラもスピードが鈍っている。
中盤ジーナ・デル・サルトも顎があがってきている。

だが一番やばいのは―



「…狙うのは、モリシタだ」
「ああ、アイツの燃料を空にしてやろうぜ」






ローマの攻撃は不発。最後代歩のシュートのこぼれに茜が飛び込んだがGKのニーナに阻まれた。

「速攻っ!!」

ニーナは叫んでオーバーハンドスロー。弾丸のように飛んだボールが中盤ライラに渡った。ゴール前で倒れていた茜が飛び起きて全速力で戻る。

リーグ後半戦が始まってから茜は全ての試合をフル出場してきている。しかもその全ての試合でチームランキング1位の走距離を記録している。
攻守全てに顔を出すという茜ではあるが、それが全て試合展開を読んでやっているわけでもなく、単純に誰よりも多く走るというやり方をしている部分はある。

イタリアに渡った最初の年に心臓が停止するほど走りぬいた茜だったが、それは同時に自身のスタミナ不足を露呈する結果になった。
だから茜はそれを解消すべくスタミナ作りに精を出した。
ラツィオはセリエの中でも科学的に効果の高いトレーニングを行える良い環境に恵まれており、茜のスタミナはその後2年で爆発的に伸びた。
結果的に茜のスタミナはイタリア内でも1,2位を争うほどになり、少々の事ではスタミナ切れなど起こすはずがなかったのだ。



走りながら茜は自身の体に起こっていることに疑問を感じていた。
どうしてこんなに息が上がっている?
意識が朦朧として考える事が苦痛になっている。


移籍、怪我明け、トレーニング不足。
色々理由はあるのだが、茜はそれを克服すべく十分に考えてトレーニングを行ってきていたはず。


ではなぜ??


ニーナからのパスを受けたライラに向かって茜が走る。ライラは横のカルーアにパスを送る。茜はボールを追ってカルーアに向かう。


「違う!アカネ!そこはフォローだ」



ジーナの叫び声ではっと我に返る。
カルーアにはアギーがマークに向かっており、二人はポジションを被らせた。
カルーアがそれを見てダイレクトでライラにパス。ワンツーでライラがバイタルを抜けた。そして左にグラウンダー。そこには現アズーリのサイドバックであり、オーラ・サネッティからポジションを奪ったコルネリア・アウリシッキオが走りこむ。
ローザ・ベルガメリが向かうが一瞬遅れている。余裕を持ってクロス。二アサイドに飛び込むマレク・ファンバステンがヘッド。
電光石火の攻撃がローマのゴールネットを揺らした。




「う、嘘…」
茜はその場に膝を突いた。
完全な判断ミス。普段なら絶対ありえないマークの動きのミス。自分のミスで失点

下を向きかけた体を掴まれて強引に引き起こされた。肩をつかんでいたのはジーナだった。


「まだだぞ、後悔するのは試合のあとでいい。今は顔を上げろ、下を向くな」
「は、はい」

そうだ、まだ試合は終わってない。
そう自分を奮い立たせようと努めるが、思ったよりも奮わない。
疲労が精神までも蝕みはじめていることに茜は気が付いてしまった。
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【2011/08/02 21:24 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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