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【2017/05/24 22:26 】 |
第29節 AC Miran vs AS Roma 4


前半終了の笛が鳴る。
失点の後は完全にバランスを崩して防戦一方だったローマだが、何とか踏ん張ったという印象。



失点のきっかけになった森下茜は何度も何度もその場で深呼吸を繰り返して息を整える。

(やっと、少し休める…)

自身の失点のミスの事も、この先どうすればいいかというプランも全て考える事もなく、ただそう思っていた。
疲労が思考を拒否するという異常事態にすら気が付かないほど彼女の精神と思考は蝕まれていた。
もはや彼女の体内に残るスタミナは僅かであった。







ロッカールーム入り口。Bucchiiはハーフタイム5分ほどしてからここに来る。
一応女性である選手たちの着替えやそういう類のことが終わったタイミングを見計らってのことであり、毎回の事であるが面倒な事だと考えている。
3回ノック。
そして答えが無ければ一気に扉を開ける。既に着替えを終えた選手たちは彼を待ち構えていた。


「よし、それじゃまず聞くが」
Bucchiiはまず全員を見渡してから慎重に言葉を選ぶ。

「スタミナが限界に近いって奴は正直に手を挙げろ」


ぱらぱらと手が挙がる。左サイドバックのサンド、それにオーラ・サネッティ。そして本当におずおずといった感じで茜の手が挙がる。

「…ふむ、まあそんなところか。ところでジーナは平気なのか?」
「いけます。問題ないです」
ジーナが噛み付くような視線でBucchiiを睨みつける。

「今ビショップが準備してる。後半入って少ししたらサンドと交代。それに」
Bucchiiは一旦言葉を切ってオーラを見て、そして下を向いている茜を見下ろした。

「イルマはすぐいける。森下、交代するか?」


少しの静寂。茜はゆっくりと顔を上げる。その表情は曇っているがどこかほっとしたような色も見せている。

「はい、交代お願いしま…」

「だめだっ!」


ロッカールームに大きな声が響く。怒気を盛大に孕んだその声の主は清水代歩だった。
代歩は目を三角にして肩を怒らせたままのっしのっしと茜の前に。そして両手で茜の肩を掴んだ。


「ダメだっ!今やめたらお前は負けたまんまだ。折れたまんまだっ!」
両肩を持ったまま、代歩は茜の体を前後に揺らす。茜は驚いた表情で代歩を凝視した。


「逃げるなっ!立ち向かえよ。アタシの知ってる森下茜はどんな逆境でも折れたり逃げたりしねえ」


そして代歩は不意に相好を崩す。
「なっ♪」

茜は驚きの表情のまま、両目から涙を流す。そして顔を歪めて涙を拭うと今度は笑顔になった。


「うん、いま燃料少し貯まったみたい」
茜は顔を上げ、Bucchiiに視線を合わせた。

「まだいけます。このまま負けたりしませんから」
「あーあ、それじゃアタシだってまだ走れるって言うしかねえじゃんかよー」
茜の言葉に続いたのはオーラ・サネッティ。不服そうに口を尖らしているがその口調に悪意を感じられない。

「わかった。だが本当に限界になったら交代させるからな。こないだみたいに救急車呼んだりするのは面倒だしな」
最後の部分でBucchiiは片目を閉じる。選手たちから笑いが起こり、茜が顔を赤くする。


「いいか、後半もミランは攻撃的に来る。中盤の底のライラとカルーアも攻撃参加するだろう。そこでだ」
「そのスペースを突く。ですね」
茜がそう付け加えるとBucchiiは笑顔で親指を立てる。

「右のアギーとリルハの関係性は今日も良好みたいだから、そこから崩していけるようにしよう」

「まーな、アタシとアギーちゃんは相思相愛だしー」
「氏ね」
「ひでー」

また部屋内に笑いが起こる。こうやって冗談が飛ぶようになる雰囲気は悪い事ではない。





「よし、そんじゃ後半さくっと逆転して来いっ!!」
「「「はいっ!!」」」



気合の声と共に選手たちがロッカールームから飛び出す。最後に残ったBucchiiは散乱した部屋内を見渡して首を振る。

「あとは、アイツかな」

誰に言うとなしにそう呟いた。








だが後半戦、ミランも動いた。
9番ボナンザ・アルテミスに代えて18番、シア・ジュニーニョの名前が。
「きたか、クラッキ…」
ジーナが顔を歪めてそう呟いた。

クラッキ
ポルトガル語で、意味としてはファンタジスタに近い意味。だが純粋なファンタジスタということではなく「点取り屋」や、「壊し屋」という意味が近いかもしれない。「壊し屋」というのは選手や物を壊すという事ではなく、決定的な点を取って試合の意味や意義すら壊してしまうという意味だ。
つまり、ミランは試合を決めに来たということだ。



















「やっと、みつけたわ」
サンシーロから少し離れた石畳の公園のベンチに彼女はいた。
つまらなそうな表情で誰も遊んでいない遊具に向かって小石を投げ続ける銀髪の少女。
カミュ・ファルコーニの隣に橘恵美は座った。

「さあ、どうしましょうか?」



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【2011/08/04 21:01 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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