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【2017/05/24 22:34 】 |
第29節 AC Miran vs AS Roma 7


走る、走る、走る。
見えた、ここが入り口か。

明るい光が差すそこを抜けると歓声の渦、そして懐かしい熱気がそこにあった。

カミュ・ファルコーニはローマのベンチに向かって走り寄る。

「ミステル、ミステル、ミステルー!」
Bucchiiがやっと気が付いたかのように振り返る。カミュは息を切らせていたが何とか息を整えるとBucchiiに向かって顔を上げた。


「ミステル、アタシを殴ってくれっ!」
「おう」
間髪入れずにBucchiiの平手打ちがカミュの頬を直撃。もんどりうって倒れた。






「ちょ、ちょっと待ってよミステルっ!」
カミュは殴られたほうの右頬を押さえながら立ち上がる。
「普通さ、『どういうことだ?』とか最初に聞かない?ねえ?いきなり殴るとかないじゃんかよー」
「いやいや、殴れって言ったのはお前だろ?」
「そうだけどさ、何て言うのかさーアタシが殴れって言った意味とか考えて欲しかったと言うかさー」
少しふてくされたようなカミュの頭をBucchiiはそっと撫でた。顔を上げるカミュ。

「わかってる。もうお前は逃げた弱い自分じゃない。今からのお前はローマの王様だ」

カミュはそれを聞いて笑顔で頷いた。


「よっし交代っ!背番号19番森下に代えて背番号10番、カミュ・ファルコーニ」





ピッチから茜と肩を貸した代歩が来る。ピッチサイドにカミュが立つと途端にスタジアムがブーイングに包まれる。それは茜が受けたブーイングの比ではない。



『ウルズ6、AD-6だっ!』
『オーケイ』
無線機の声を聞いた金髪の男はうつ伏せの姿勢のまま狙撃銃の照準を合わせ、発砲。
立ち上がって右手に発炎筒を持った男の右手が弾けた。
『次、AD-9、それに13』
指示の元次々と発砲。ゴム弾が狙い通りに命中する。
客席で唖然とする狙撃された男たちを確保する「ミスリル」兵士たち。キルシェも一人の頚動脈を後ろから軽く締めてオトシてから引きずっていく。

そして客席裏の通路に全員を集める。その数4人を5人の「ミスリル」兵士が取り囲む。
その中心、キルシェがリーダー格らしき男に顔を近づけてささやいた。

「いいか、私たちは熱狂的ローマサポータグループだ。カム・ファルコーンに…」
(カミュ・ファルコーニだよ)
耳打ちされたキルシェは顔を真っ赤にさせる。ごほんとひとつ咳払いをすると話を続ける。

「カミュ・ファルコーニに何かしようと企むのはやめておけ。次は本物の銃弾でお前たちの腕を撃ち抜くぞ」

既に情報網を駆使し、カミュに危害を加えようとしているサポーターグループを特定していたミスリル兵士たちは事前にしっかりグループの動きを把握し、その周りに配備していた。勿論周囲の危険物も一切合切取り除いていた。
そのリーダー格の男はあまりに手際よく自分たちを捕らえた手腕に何度も首を縦に振るしかなかった。

『よう、もういいかい?そろそろ美しい彼女たちの肉体の躍動を観察したいんだけど…』
『帰るぞウルズ6、すぐ行かないと月曜の授業に間に合わなくなるじゃないか』
『えーひでえなあ』
『そう言うな。じゃあ6月にやる学校の運動会のチケットを融通するから―』
『よし撤収だ。ぐずぐずするなよ』
『現金すぎるぞクルツ…』





ピッチサイドで茜とカミュが手を合わせる。そして茜はカミュの体を抱きしめた。
「遅いぞ、カミュ」
「…ゴメン、アカネ」
茜が抱擁を解く。そして体を入れかえる。カミュはピッチの中に、茜は外に出た。

「見てるからね、カミュ」
「ああ、見てろよアカネ。あいつらギッタギタにしてやるからっ!」
ガッツポーズをするカミュ。それを見た茜はくすくす笑った。

「いいよギッタギタにしなくても。その代わり―」



「私を、私たちを最高にドキドキさせて」




カミュは一瞬ぽかんとした表情をしたが、すぐに口を結んで頷いた。












ゴール前23メートル。茜が交錯した場所にアギー・バックは慎重にボールを置いた。既にペナルティ・エリア内にはローマ、ミランの選手たちがポジション争いをしていた。CBであるパオラ、そしてキッカもその身長を利用してオーバーラップしていた。
後ろから交代したばかりのカミュ・ファルコーニがアギーの元に駆け寄る。ローマのセットプレーは大抵アギーかカミュが蹴ることになっている。カミュはアギーの肩に手を置いた。

「悪いけど、アタシが蹴るから」

アギーは目を丸くした。
この子は一体何を言っているのだろう。2-0でリードされている展開、やっと掴んだ大きなチャンスに交代で入ったばかりのこの子が蹴る?理解不能だ。
だがこの我侭姫様は言い出したら聞かないこともまた事実。そして結果も出す事もまた、事実。
アギーは大きくため息を吐いた。

まあいいか、私が蹴るよりこの子が蹴るほうが、面白そうだしね

ミランは正面に6枚の壁を敷く。そしてエリア内に入り込んだ選手たち、代歩やキッカ、パオラにそれぞれマークを立てて合わせのプレーにも警戒する。GKのニーナが大きな声で壁の位置を修正させている。


「ねえ、カミュ」
アギーが隣に立つカミュに耳打ちする。
「先に私がフェイント入れようか?」

と、そこまでささやいたところでカミュの横顔を見る。
カミュは舌なめずりをしながらゴールを睨みつけている。今ささやいた事も聞こえてない風だ。
アギーは今度こそ呆れた風に首を振り、その場を離れてセカンドボールに対処する事にした。


それを見て驚いたのは他ならぬミランGKニーナ・ヴァレンティノだ。
(7番が離れた?それじゃ10番が蹴るのがバレバレじゃないか?)

だが思い直す。これで選択肢が減ったんだから自分としては喜ぶべき事だ。
ローマのセットプレーの場合、合わせるキックはアギー・バック。直接狙うときはカミュ・ファルコーニと大体決まっている。
それにカミュはファンタジスタで誰にも想像できないプレーを連発する。つまり味方も合わせにくいって事じゃないか。
つまり、今この状態の場合カミュが直接ゴールを狙うのが9割ほど決まっているって事だ。

そこまで考えてから次の思考。
カミュは左利き、右足で蹴る事は無い。それは代表でもそうだった。
左足インフロントで蹴ればボールは右に曲がる。あとは壁を越えて右隅を狙うか壁を巻いて左隅を狙うかってだけだ。あとは中央を狙うというのも考えられるがそれはリスクが高すぎるはず。
ニーナはゴール左にポジションを取る。これであとは軸足の向きを見て動けばいい。

笛が鳴った。
カミュがゆっくりと走り出し、左足を振り上げた。


(軸足はこっちを向いたまま、壁を越える右隅だっ!!)


だが気が付くべきだった。カミュの軸足の置いた場所がやけにボールから離れている事を



蹴る。
ニーナは右に跳ねるつもりで体重を移す。だがボールは壁を越えて正面に飛んできた。

(まさか、読みが外れた??)

だが左にポジションを取ったのがここで生きた。このまま動けばちょうど正面でボールをキャッチできる。しかも余裕を持って
だがボールは正面から左に曲がった。しかも大きく。

(まさかっ!逆?アウトフロントキックだって??)



ニーナが腕を伸ばすが完全に遅い。ボールは左に曲がりながらバウンド、ゴールネットに収まった。
カミュは笑顔でベンチの茜に向けてピースサイン。ベンチの茜もピースサインを返した。


後半29分2-1。
カミュ・ファルコーニが交代してすぐファーストタッチのフリーキックを決めた。

試合はまだ終わらない
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【2011/08/09 21:41 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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