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【2017/07/25 09:32 】 |
狙われた誤審


先制弾にピッチ内の選手たちが喜びを爆発させている。そしてベンチも歓声に溢れている。

そのときほむらの右手に柔らかい感触が。
まどかの小さな手がほむらの手を握っていた。ほむらは頬を染めて顔を上げた。

「ほむらちゃん、私もう我慢できないの…」
顔を上気させながらそう呟くまどか。ほむらは染めていた顔を真っ赤にする。

「ねえ、しよ、ほむらちゃん…」
「だ、だめよまどか。今は試合中だから…終わったあとなら別に…え、や、いや……」

「しよ、アップ」

染まった顔が一瞬で元に戻った。

「ええ、いいわよ」
「エヘヘ、先輩たち見てたら体動かさないと我慢できなくなって」
ニコニコ笑うまどかに促されてほむらも立ち上がる。


「おい、何想像してたんだほむらー」
「黙りなさい美樹さやか」

振り返りもせずにほむらは吐き捨てた(笑)




先制点を奪った武蔵野は攻勢を加速させていく。
守備、そして攻撃で力の差を見せ付けられた田園調布は攻守共に積極性を欠くようになり、それが武蔵野の攻撃を更に加速させる結果になる。
開始15分でジリ貧という状態だ。

左サイドでドリブルを仕掛けるのはタマちゃん。今度こそ田園調布の選手をひとり抜き去るとサイドを抉ってクロス。二アサイドに飛び込んだミヤミヤが頭で合わせるがこれは枠を外した。


ここまで武蔵野は攻勢を強めているのだが、その中で中盤攻撃的MFの相沢ちとせだけがほとんどボールに絡まずに消えたような状態だった。
これは昔の彼女を知るものであればちょっと不思議に思えるかもしれない。
だがこの冷静さがアメリカから帰ってきた彼女の成長の証なのかもしれない。と好意的に解釈している向きもある。このあとの騒ぎがなければだ。



20分を過ぎ、ほぼ田園調布陣内にて試合が進む。中盤センターサークル付近でボールを受けたキリノは左右を見渡す。
普通であればここで厳しいチェックがあるはずなのだが貝のように蓋をした田園調布の守備陣はここまで来ない。ツートップも特に絡んでくる動きも無い。

(んー、ちょっと拍子抜けかな)

そう感じながら左のタマちゃんにパス。受けたタマはまたもドリブルでサイドを走る。
と、ここで田園調布の片桐がチェック。タマは冷静に前方を走る丘野陽子にパスを送った。
左サイドさっきまで片桐が埋めていたスペースを陽子が確保。そのままエリアに絞りながらクロスボールをあげた。ニアのミヤミヤの頭を大きく超えるボールはファーサイドの飛鳥まで飛んでいく。
と、ここで中央エリア内に侵入したちとせの姿を確認した飛鳥はそのクロスボールをDFと競り合いながら頭中央ちとせの足元に落とした。DFの隙間を抜けたちとせに渡り、ビックチャンス。


が、それを読んでいたのか古式ゆかりがちとせの後方から向かう。
そして……


エリア内でちとせが転倒、うつ伏せに倒れて動かない。そして大きな笛が鳴り響く。
主審が駆け寄り、古式に対しイエローカードを提示する。その古式は信じられないといった表情。田園調布のDF陣が主審に抗議をするが当然聞き入れてもらえない。主審はペナルティ・スポットを指差した。



「え、今のって……」
ほむらとアップしながら試合を見ていたまどかが声を枯らして呟く。ほむらも同意の意味を込めて頷いた。



ちとせは誰にも触れていなかった。当然古式にもだ。




倒れていたちとせはミヤミヤの手に引かれて立ち上がる。笑顔だった。




「やりやがったわね……」
ベンチで松原聖が苦虫を噛み潰したような顔をして呟く。

そう、ちとせの演技。
ギリギリのところでわざと倒れてPKを誘発した。近くにいた選手たちは全員それをわかっている。田園調布も、武蔵野もだ。

聖は後ろを向いてアップ中のほむらの姿を見つけると手招きをした。
「すぐに行くわよ。ユニフォーム着て」
「あ、は、はい…」

ピッチ内では未だにジャッジに納得のいかない田園調布の選手たちが抗議を続けている。
ほむらはジャージを脱ぎ、そして新品のロッソネロの長袖に袖を通す。

「頑張って、ほむらちゃん」
「う、うん、がんばる」
まどかの応援に小さく右手を上げて応えるほむら。川田知子コーチとピッチサイドまで並び、手書きの交代ボードを大きく掲げる。

10→20

ちとせとの交代だった。



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【2011/08/23 20:27 】 | Others League | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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