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【2017/07/25 09:33 】 |
第31節 AS Roma 対 Lazio 3 テクニカル・サイドアタッカー


茜の放った無回転ミドルシュートはラツィオDF陣にとって懸念すべき材料が増えた事を意味する。

「森下茜は怪我によりドライブシュートが打てなくなっている」

これはシーズン開幕し、茜が試合に出始めてから囁かれていることであり、茜本人はその真偽について口にすることは無かったが実際アジアスーパーカップ以降彼女がドライブシュートを打つことはなくなっている。
だがここで打ったのは無回転シュート。
ドライブシュートの代わりとしてそれを使うのであれば、中盤早い段階でコースを塞ぐなど対応が必要になってくる。
これで茜への警戒、プレスポイントの修正が余儀なくされるのは必然であった。






(ふう、うまくいった…)
茜は内心そう思っていた。
茜がこの無回転シュートに取り組みだしたのは実はここ1週間のことだった。
ちょうどベンチメンバーから外されている時期であり、ここを利用して新シュートとしての利用を画策していた。

だが無回転シュートなど、一朝一夕でマスターできるものではない。
1週間を利用しても10回に1回上手く打てるかどうかであり、ましてやコースをつくという段階までは到達していない。
つまりあの場面で打ったのは「ぶっつけ本番」以外の何者でもない。
最悪ぶれる無回転が打てなくても、ミドルレンジからのシュートの存在を示すだけでも多少の効果は期待できる。それが無回転であれば尚更。
そうやって早い段階で自分へのプレスが増えれば、それはつまりカミュや代歩のマークが薄くなる事を意味する。


そして、これ以降茜がボールを持つと1段早い段階でプレスが来る。
彼女の画策は成功していた。






ローマの左サイドは攻撃の基点であり、それを実現するのが俊足オーラ・サネッティ。
学生時代からその才能は評価され、年代別代表を経て第1回ダイヤモンドカップではフル代表に選出されてその才能を如何なく発揮した。
その後学校卒業と共にプロを志し、苛烈な獲得競争の末地元であるローマに入団し現在に至る。
今のイタリア代表はサイドハーフを置かない4-4-2という布陣のためサイドバックを務めることも多いがACミランのコルネリア・アウリシッキオやLAギャガンのアリス・ネデバなど才能ある選手が多いポジションなだけにレギュラーを獲るのはまだ難しい。
通常左利きの選手は右サイドをその主戦場とすることが多いのだがこのオーラは常に左サイドを主戦場としている。それは類まれなる俊足で駆け抜けながらのクロスというのが彼女の最大の持ち味だということを理解したBucchiiの采配によるものである。

その彼女が封殺されている。
理由は簡単、そこにニキータ・アルデンテがいるからだ。


ラツィオのニキータ・アルデンテは今年29歳を迎える女子としては大ベテランという位置に当たる選手だ。
俊足というほど足は速くないが、そのテクニックとサイドアタックをかけるタイミングが絶妙であり、その年齢に裏打ちされた経験則が彼女の最大の持ち味だ。
勿論フル代表の常連であったのだが、第1回ダイヤモンドカップあたりからその地位が揺らぎ始めた。
それは、オーラ・サネッティの存在。
テクニックと俊足が同居するこの選手の出現によって、経験を生かして鈍足をカバーしていたニキータは彼女にポジションを奪われることが多くなっていた。
だからなのかニキータはオーラに対し普通以上の感情を持っている。
簡単に言えば憎悪に近い感情。

「アイツさえいなければ、アズーリという誉れ高き至福の時間をもっと続けられたのに…」

だが表立って喧嘩を挑むほどニキータは若くも無く、オーラに至ってはニキータにそこまで憎悪されているなど夢にも思っていない。
だからニキータは、その思いを試合でぶつける。



アイツを抜かせない。そして攻撃では奴を置き去りにする



これがニキータのアイデンティティだ。
沢山の試合をこなしたという経験は、守備の際に絶大な恩恵をもたらす。
ニキータは、経験則に基づいてオーラの上がるタイミングを探り、その全てをことごとく封殺していた。
過去のダービー・マッチでこのオーラが的確なクロスを殆ど出せていないというのがこの事実を物語っている。


そして今もオーラのサイド突破はニキータによって封殺されている。
左サイド中央付近、ボールを保持したオーラ・サネッティの前にはニキータ・アルデンテ。

(くそ、またかよ・・・)
オーラは内心悪態をつきながらニキータの脇をそのスピードで抜きにかかる。だがニキータはオーラがその一歩を踏み出した瞬間バックステップ。距離をとりながら抜くスペースを潰した。
俊足アタッカーに対して同じようにスピードで対処すれば分が悪いに決まっている。だからニキータはスピードに乗る瞬間に距離を作ってスピードを封殺。そしてあとは体を当てて対処する。
体を当てられながらもバランスを保ったオーラは仕方なく後ろのサンド・フィオーリに戻した。サンドからまたDFラインへ。



「オーラ、今回もやられてますね」
「だな」
ベンチでは監督のBucchiiとコーチである橘恵美がそう言い合う。
恵美はこのダービーに際し、オーラを通常の左サイドではなく右に配してニキータを避ける案を出したが一瞬で却下された。

「アホか、オーラが右に言ったらニキータもそっちサイドにポジション交換して対処するだろ。テレビゲームじゃないんだからな」

ぐうの音もでなかった。Bucchiiは更に続ける。

「まあ、それにオーラもこの壁を越えられないようじゃこの先の成長も見込めない。アイツにはまだ才能が眠っているんだからな」

Bucchiiの言葉は、まるで自身の娘の成長を見守る父親のような雰囲気さえあった。




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【2011/09/25 18:30 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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