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【2017/07/25 09:29 】 |
第31節 AS Roma 対 Lazio 9 勝利の代償


「これでオーラも一皮剥けたな」
テクニカルエリアでBucchiiは満足そうに頷いた。

結局のところニキータは常にオーラ・サネッティを意識しつづけたが、オーラはニキータを意識の外に出したということ。
サッカーは1対1の勝負ではなく、11対11の勝負であるという事。
オーラ・サネッティは俊足とテクニック、そしてここぞというときの思い切りの良さが個人としての特色。
だがその特色だけでは11人のチームに勝てはしない。
チームの中でのオーラ・サネッティという選手のいるべき場所、やるべき事を明確にすることでその個人の特色が光り輝く。
それが「チーム」であるということ。
オーラ・サネッティはそれを意識したかしないかはともかくとして、これでサイドプレイヤーとしてひとつ階段をあがったということだ。





後半30分をまわり、スタジアムはヒートアップしていく。
熱い歓声が鳴り響き、満員の観衆から発せられる熱気が飛散する。そして勝負の熱に犯されたピッチ上の熱気も火花が散るほどに熱くなっている。


「きたわね、アカネっ!」
「行かせませんよ、シルビアっ!」

ローマ陣内エリア手前でシルビアがボールを確保、その瞬間茜が眼前に飛び込んだ。
シルビアは足の裏でボールをコントロールしながら抜くタイミング、そしてスルーパスを出すタイミングを計っている。
ツートップのひとり、アンジェリカはパオラのマークを引き剥がそうと前後左右にステップを踏むがパオラはなんとかそれについていく。
リリカにはウィルマ・ビショップがマーク。
左サイドバックのローザと交代したのだが今の仕事はほとんどセンターバックに近い。それはそれでウィルマの本職であるので彼女はいつもより楽しそうにプレイしているように見えなくもない。


茜がシルビアに派手に体をぶつけてくる。

(く、相変わらずキツイタックルね…)

鍛え上げられた茜の体躯にバランスを崩しながらもシルビアは足元のボールを器用に扱ってそれを渡さない。数歩足裏でボールを転がして横にスライド、右足を短く振り上げた。


「よしっ!!」
その瞬間アンジェリカは反転、完璧なタイミングでパオラのマークを引き剥がした。




が、来るはずのボールが来なかった。




シルビアがパスを出した瞬間、茜は左足を大きく伸ばし、シルビアの足元でカットした。


(まさか、読みきられた!??)


ふわりと浮かんだボールを確保したのはサンド・フィオーリ。
茜はスライディング気味の体勢だったが右手の腕の力だけで跳ね起きてシルビアの横を駆け抜ける。三度からのパスはその走る茜の足元に。


カウンター

だがラツィオの選手の戻りも速い。セントラルMFのヴィルヘルミナが中盤のスペースを埋めるように動きながら茜に迫り、両サイドジェシカにニキータもオーラ、アギーのマークに張り付いた。


「アカネ!こっちだ」

左サイド、オーラ・サネッティが左手を上げた。そしてニキータの後ろのスペースを睨みつける。

「今度は行かせない!」
ニキータは叫びながらバックステップしオーラとの距離をとる。一瞬でも先に動けば走力の差はカバーできる。
が、来るはずのオーラが来ない。
オーラは手を上げたままその場に立ち止まった。茜はにこりと笑ってそのオーラの足元にボールを出した。
受けたオーラはもう一度ニキータを見つめた。そして大きく深呼吸。

「さ、勝負しようか」








オーラがダッシュ、上体を2度振ってあっさりニキータを抜き去った。
二キータはオーラが裏のスペースを狙って飛び出すことを想定して先に後ろに動いた。だがオーラは動かなかった。
それが結果的にオーラとニキータの間に4メートルの距離を生んだ。
オーラにはその距離で十分だ。スピードに乗ったドリブルならばオーラは世界1,2を争う速さを誇る。
そのスピードでニキータを抜くのは造作ないことだった。



オーラはニキータを抜き去ってそのままドリブル。デイジーがそのスペースを埋めるべく動く中あっという間にサイド深くまで到達し、クロスを上げた。
デイジーの胸元を掠める低めで速いクロスは飛び込む代歩より速く抜ける。狙いはファーサイドのカミュ・ファルコーニ。


が、それを読んだのがラツィオが誇るCBレミ・クロスティ。
既にベテランの域に達しているこのアズーリの主力選手は経験から来る読みと洞察力にも優れ、更に鍛え上げられた体躯はそこらの若い選手にもまるでひけを取らない。

そのレミがカミュの正面に動いた。そしてシュートコースを塞いだ。
そしてカミュの左からはマンマークについていたエルザ・ラ・コンティ。


カミュは大きく跳んだ


そして飛んでくるクロスボールを正面に向けて胸トラップ。着地した瞬間遅れて飛び込んでいる代歩にパスを出すことまで思考に入れた。



が、後方から殺気を感じる。
エルザが着地の瞬間を狙ってスライディングを仕掛けている。
瞬時に理解した。

これはボールを奪うタックルではない。
潰すためのタックルだ。


カミュは空中で左足をあげ、ボールをちょんと叩いた。ふわりとした軌道のボールは寸分たがわず代歩の足元に。
代歩は後ろからユニフォームを掴むキャリス・モンティアーノを振り払いながらダイレクトシュート。白い軌跡はゴール左隅を貫いた。
















ごきっ











シュートがネットに収まる瞬間。代歩の耳に嫌な音が聞こえた。
その音のほうを向く。そこにはエルザ・ラ・コンティとカミュ・ファルコーニが折り重なるように倒れ、カミュは右足首をおさえてうずくまっていた。




「……あ、あ、あ、…… ああああああああああああああ……!!」
スタジアムの歓声に負けないほどの絶叫が響き渡る。カミュが足首を抑え痛みに体を震わせながら叫んでいた。
主審が駆け寄り、担架を要請する。カミュは叫びながら芝の上をのたうちまわっていた。
タックルをしたエルザはおろおろとした素振りをしながら胸元で十字を切る。


「カミュっ!!」
茜がその場に飛び込んだ。そして痛みにのたうつカミュの肩を抱く。

「いたい、痛いよアカネ、痛いよ…」
カミュは顔を真っ青にして唇を震わせながらそう訴える。茜は目に涙を溜め、カミュを更にきつく抱きしめた。





担架にカミュが乗せられ、運ばれる。恵美がカミュの手を握りながら付き従う。
異様な雰囲気の中、茜は胸元で両手を握って祈るような格好のエルザの前に歩み寄る。
そして、不意にその胸倉を掴みあげた。


「エルザ、あなた…なんてことを……」
「ちょ、ちょっとやめて……」
茜は憤怒の表情で掴んだ胸元を捻り上げるように力を込める。
が、代歩がその間に入り、茜の腕を叩き落した。


「やめろっ!なに考えてるんだ!」
「離してよ、代歩ちゃん! アイツがカミュを…」

少しはなれたところでエルザは掴まれた胸元の皺をなおし、茜と代歩に向かって笑いかけた。



「わざとじゃ、ないよっ♪」








その後試合は動かずに2-1でローマ勝利。スクデットに向けインテルとの勝ち点差は2のまま動かず。

だが、この勝利と引き換えにローマはファンタジスタを失った。




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【2011/10/20 20:46 】 | LEGA-CALCIO 2009-2010 | 有り難いご意見(2) | トラックバック(0)
<<そして決勝へ | ホーム | 第31節 AS Roma 対 Lazio 8 バックステップ&ダッシュ!>>
有り難いご意見
遅ればせながら感想書きに来ました
タイミング的にはそろそろいいのかな?

…産みの苦しみ、っていうのは鬱展開なのかなあ、鬱展開ってことはカミュ再起不能、なのかなあ…なんてことも脳裏をよぎったり。でもやっぱファンタジスタって短命で終わるものかもね、なんてことも考えたり。順風満帆なサッカー人生を送りました、なんてファンタジスタもあまり聞かないし。バッジォも怪我多かったしな…
しかし今エピソードで一番印象に残ったのはエルザ・ラ・コンティだったりします(笑)最後のあれはなかなかにウザい(笑)


この後の新展開、は…桜花杯と見せかけて代表ネタ、と予想しておきます(笑)


それでは。
【2011/10/22 23:30】| URL | 捨井武 #8d2efd95a3 [ 編集 ]


コメント貰うとやる気が出てくる(笑)
いつもありがとうございます。
さて、産みの苦しみと呟いたのはいわゆる「鬱展開」という訳ではなく、まあぶっちゃけ「ネタがない」という事で(笑)

このラツィオ戦に関してはラストの部分のみが頭の中にあり、他は完全にノープランという状態で書き出してました。
書きながら膨らんでいくだろうなと甘い期待でしたがまるで駄目。忙しいのも相まって更新頻度がひどく遅れてしまいました。

という事でこの後の展開は……


だ、代表ですかっ!


いやそれはちょっとどうしようかなっと(笑)
桜花杯、それにセリエの大一番インテル戦と断片的にですがストーリーは出来ているので代表はその後にとっておきましょ(笑)

ではまた。
そちらの決勝戦の決着も楽しみにしていますね
【2011/10/23 07:29】| | Bucchii #4f08fb5f61 [ 編集 ]


貴重なご意見の投稿














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