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【2017/05/23 02:22 】 |
桜花杯決勝戦模様その1 ファーストシュート

キックオフと同時にスタジアムから怒涛のような歓声が響き渡り、ベンチにいる選手たちの頭上で渦を巻くように感じられた。
鹿目まどかは不安そうな面持ちで周囲を見渡してから、真剣な表情に戻ってピッチを見据えた。
隣に座る美樹さやかはそれとは対照的に少し弛緩した雰囲気を漂わせながら、ピッチに視線を泳がせていた。


心の中では数日前のことがよみがえっていた。







「話にならないわね」
福岡のビジネスホテルの一室。合宿に来ていたSCMが連泊しているホテルの中、松原聖監督の個室で彼女はそう吐き捨てた。目の前には睨みつけるような視線の美樹さやか。

「お願いします!絶対に活躍してみせますから、決勝戦に使ってください!」

美樹さやかはそう叫んでもう一度深々と頭をさげた。だが聖は冷静に首を横に振る。
そしてガラステーブルの上に置いてあったウイスキーの入ったグラスを手に取り、くいとひと飲み。聖はウイスキーはストレートで飲むのを身上としていた。


「まあ、顔を上げてそこに座んなさい」
聖の勧めでさやかはその場に腰を下ろした。対面に座る聖は椅子に座って右手のグラスにもう一度口をつけた。

「聞いたわよ。DMSの佐倉杏子と元コンビだったんだってね」
「……はい」

知っていたのか。新聞記事を見たのか、それともまどかかほむらが言ったのか。さやかは思案しながらも頷いた。

「向こうさんはレギュラーでしかも桜花杯得点王確実。元コンビのさやかちゃんとしちゃ、堪らないわよねえ」
「わかってるなら……」
「だからよ」
さやかの悲痛にも聞こえるその叫びだったが聖がぴしゃりと言葉を遮る。

「だからこそ、あなたは決勝戦に出るべきじゃないのよ」

その言葉にさやかは一瞬言葉を失った。









風間こだちから送られたボールを水澤摩央が受けて左サイドに大きく蹴りだす。走りこむ音無夕希がそれを追うがその前に丘野陽子が飛び出してボールをカット。タッチラインの外に出した。
スローインのボールを受けたのは摩央。そこから緋菜を経由してトップ下の巴マミの足元に。
マミが振り向こうとした瞬間、本田飛鳥が体を寄せた。

マミは涼しい顔のままヒールでバックパス。緋菜がもう一度受けて更に後ろの二見瑛理子に戻した。瑛理子から左の水谷由梨香、そして瑛理子、扇ヶ谷鉄子へとまわす。
それを奪おうとするする前線に向かった宮崎都だったが鉄子は強めのパスを左に。瑛理子を超えて由梨香が受け、マークに向かった暁美ほむらが到達する前にロングパスを放った。

大きく伸びたボールは左サイドを走る夕希に合わせたものだったが、江藤和代がヘッドで打ち返した。







「ぶっちゃけるとね、あなたが佐倉杏子に感じてる私怨なんかどうでもいいのよ、私は」
「なっ……」
その言葉に更に絶句するさやかだったがそれを気にもしていないのか、聖はグラスを右手に持ったまま更に話を続ける。

「私が考えていることは勝つこと、勝利する事、優勝する事、それだけなの。わかるかしら?」
そう言って聖はさやかをみつめる。さやかはそれに対し少し戸惑いながらも頷いた。
「だから、それ以外のことは全て排除。あなたの気持ちも私怨も、勝利には邪魔でしかないのよ」








和代が打ち返したルーズボールを拾ったのは里仲なるみ。そこから陽子に繋ぎ、前線から下がってきたほむらが陽子からのパスを受ける。
ほむらが前を向いた瞬間、眼前に摩央が迫っていた。だがほむらは表情ひとつ変えずに右足を振ってパス。摩央の脇を駆け抜けたパスは左サイドを走る神条芹華への絶好のスルーパスとなった。
受けた芹華は中央に絞ってドリブル。一気にエリア手前まで駆けるが鉄子がそれを阻む。
コースを切りつつ力強く体を寄せるさまは強さを誇るディフェンスに絶対の自信を持っているのだろう。芹華はそこから左の深い部分にボールを出した。誰もいないはずのそのスペースにはいつやってきたのか川添珠姫が走りこんでいた。
珠姫は受けざまワンタッチでクロスを放ち、中央都がヘッド。GK香坂麻衣子が抜群の反応で右手に当てるがそのこぼれ玉に駆け寄ったほむらがダイレクトシュート。
しかしボールはクロスバーを大きく越えた。






開始5分。
いきなりの得点チャンスにスタジアムは大きな歓声を更にヒートアップさせていた。


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【2011/11/15 23:14 】 | Others League | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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